参院選視野に円卓会議へ野党前向き~改憲阻止へ市民団体が要望
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地方で、夏の参院選へ向けて野党共闘を求める市民グループの動きが止まらない。野党側の共闘への具体化が遅いなか、民主、共産、社民が候補者を擁立し野党共闘の条件が厳しい福岡県から、野党に共闘を迫る市民運動が盛り上がっている。
福岡選挙区(改選定数3)で、安保法廃止や改憲阻止のために野党共闘を求めている市民団体が2月2日、民主、共産、社民の野党各党の県連などを訪れて、野党が合同で話し合う円卓会議への参加を要望した。
要望したのは、「みんなで選挙ふくおか」(共同代表・宮下彩、後藤富和)で、民主主義と立憲主義の破壊を止めたいという願いで、約100人の市民が立場や政治的信条を超えて連携している。要望書には、600人以上の賛同署名を添えた。
要望書は、福岡選挙区で安保法廃止を求める野党候補が2議席を確保できるように市民との協力、次の衆院選小選挙区での野党の協力も求めている。宮下共同代表によると、各党は、選挙協力については別として、円卓会議参加に前向きだったといい、2月中の開催へ向けて日程調整していく予定。宮下氏は「即選挙協力ではないが、安倍政権の暴走を止めるための共同を進めていきたい。今後、円卓会議のほかにも、野党が集まっての共同の街宣なども実現していきたい」と語った。
選挙協力に至らなくても、野党共闘によって、選挙への関心や投票率のアップ、改憲阻止の野党票や比例票の底上げにつなげたい考えだ。福岡選挙区は、前回の3年前の改選2議席から1増の改選定数3。自民党は現職の大家敏志氏を公認、民主党は引退する現職に替わって、新人で元民放アナウンサーの古賀之士氏を擁立。公明党の新人で元外務官僚の高瀬弘美氏、共産党の新人で病院職員の柴田雅子氏、社民党の新人で党県連副代表の竹内信昭氏らが立候補を表明している。
夏の参院選挙の野党共闘は、「1人区」では、熊本県で実現したが、全国的には長野県、群馬県など一部の県にとどまっている。しかし、しびれを切らした各地の市民グループが野党各党に共闘を迫る動きが広がり、1月22日には、全国の“市民勝手連”が交流するシンポジウムが東京で開催され、市民サイドは勢いを増している。
福岡県で600人以上が円卓会議開催を要望し賛同署名を寄せた背景には、2015年9月に成立した安保法と安倍政権・与党に対して、憲法違反、立憲主義に反するとの危惧がある。改憲勢力が参院の3分の2を占めれば、明文改憲されるとの危機感から、「1人区」ではない福岡県でも、与党の2議席を阻止する野党共闘の実現を目指している。対抗する政権与党側は、安倍首相が年初から、憲法改正をめぐって、緊急事態条項の創設、憲法9条2項の改正に言及。福岡選挙区では、自民党本部が同党県連に対し、公明党との選挙協力の検討を要請したといわれ、与野党ともに憲法改正を軸に、「政権与党」対「野党・市民団体の共同」の対決意識が底流に流れ始めた。
【山本 弘之】
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