「運輸と倉庫」を核に事業多角化、物流施設のサブリースに乗り出す
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(株)博運社 代表取締役社長 眞鍋 和弘
倉庫面積は九州トップ
「物流は地域のライフラインであり、それを支えることが当社の使命。しかし、変化の激しい今の時代、1つの業態に固執していては物流さえも守れなくなる。物流を基盤にしながら、幅広い分野から顧客満足を追求する多角経営を推進していく」と抱負を話すのは、2014年2月に実兄の眞鍋博俊社長(現・代表取締役会長)の後を継いで就任した、(株)博運社の眞鍋和弘社長。博俊氏は福岡県トラック協会など、主に対外的な活動に当たる。
博運社は和弘氏の父・故眞鍋庸人氏が1957年に設立し、一代で九州を代表する物流企業に育て上げた。長男の博俊氏は「輸送と倉庫は物的流通の車の両輪」との先代の理念に基づき、輸送拠点の整備と倉庫の増強に力を入れた。
現在、輸送ネットワークは九州一円から関西、中国の10府県におよび、トラック保有台数約450台、営業倉庫の延床面積は14万800m2と九州ではトップ。なかでも94年、九州の物流の要衝・鳥栖JCT近くに建設した「福岡南流通センター」は延床面積3万2超で、九州最大級の規模を誇る。眞鍋社長は、そうした実績に安住するつもりはない。先代、先々代が築き上げた荷主との信頼関係を守り継ぎながら、一歩先のニーズを読み取り、革新に挑戦する。就任早々打ち出した戦略が、既存の経営資源を活用した事業分野の多角化。その1つが不動産事業で、14年9月、組織を改革し営業本部を「物流」と「不動産」の2部体制にした。新設の不動産営業部は、博運社が保有する広大な倉庫スペースを活用し、サブリース業を展開する。福岡都市圏では、ネット通販の急成長などで倉庫需要が増加している。同社が直接倉庫を運営するのではなく、スペースを貸し出し賃料を得る。倉庫以外の用途で引き合いも多く、稼働率は9割を超す。
14年夏からは、重量物や長尺物などの異形物を取り扱う「パワー便」を始めた。これらの貨物の輸送は経済活動に欠かせないにもかかわらず、運送業者が限られ、近年のドライバー不足で運び手が減っている。地域のライフラインを守る立場から参入を決断した。既存業者とはサービスを差異化し、新たな事業分野に育てる方針だ。こうした新規事業は、社員のアイディアを元に生まれたという。就任以来、社員から事業多角化の提案を募り、アイディアによっては社内で事業を起こす「企業内ベンチャー」を始めた。「社員が夢に挑戦し、自分の人生をより豊かにするチャンスに活用してもらう。独立は大変ですが、社内ベンチャーなので安心して挑戦できる」と説明する。
人材育成に取り組む
博運社を支える事業が「医薬品」「住関連設備」「食品」「日用雑貨」の4本柱であることは変わらない。医薬品は全国の専門輸送業者とネットワークを構築。医薬品メーカーから集荷した商品を大阪府茨木市にある専用物流センターに集結した後、志免町の本社専用センターに輸送。厳格に定温管理された車両で、九州一円の医院病院に配送している。専用車両約150台を持ち、九州内での輸送シェアは9割を超す。
人材育成にも熱意を燃やす。15年4月には幹部候補生として新卒者21名中、女性8人を採用した。男性職場のイメージが強く残る物流企業では、異例の数だ。「これから事業を多角化していくうえで重要な人材。彼女たちの発想に期待している」と眞鍋社長。さらに、社員各人のキャリアビジョンに沿った学びを提供する「企業内大学」の計画を温めている。業務に直結した教育だけでなく、たとえば「語学を身につけたい」「資格を取りたい」といった社員の向学心をサポートする。人材育成を企業成長の柱に据えているようだ。※記事内容は2015年8月31日時点のもの
<COMPANY INFORMATION>
(株)博運社
代 表:眞鍋 和弘
所在地:福岡県糟屋郡志免町別府北3-4-1
設 立:1957年1月
資本金:約8,918万円
TEL:092-621-8831
URL:http://www.hus.co.jp<プロフィール>
眞鍋 和弘(まなべ かずひろ)
1960年5月29日福岡県生まれ。柳川高校卒、中央大学理工学部中退。85年(株)博運社に入り、92年取締役、2007年専務を経て、14年2月に代表取締役社長に就任。関連キーワード
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