2024年11月25日( 月 )

中国経済新聞から学ぶ~中国人の「爆買い」が終わる日は来るか(中)

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将来は「こだわり型」に

kankou_ryokou 日本国内で、「爆買い」をめぐって多岐にわたる議論が行われていることに気付く。喜んでいる人もいれば、我が身を振り返っている人もおり、「中国人がいつか来なくなったらどうなるか」と心配する声もある。

 昨年、日本を訪れた外国人観光客は、日本政府観光局の統計ではおよそ1,973万人。このうち中国人は4分の1の約499万人と、前の年の2倍に増えた。春節の時期にはとくに来日する人が増え、2月は前の年に比べて2.6倍に伸びた。
 「週刊新潮」の記事によると、訪日中国人観光客の数が30%減ると、日本のGDPは663億円減る。さらにゼロになれば、日本経済は1997年から98年のアジア金融危機、さらには2008年のリーマン・ショックのときのような窮地に陥るという。
 日本の商品は、品質の良さと価格の安さで中国人を引き付けているが、「爆買い」がストップする要素はいくつもあると分析している。為替レートの変動や、内需拡大に向けた中国の政策転換、中国産業の高度化による中国人消費税の取り込みなどは、いずれも「爆買い」が止まる原因となる。

 復旦大学の孫立堅氏は、中国人による日本での「爆買い」には、品質の良さと価格の安さという要因があるが、そのどちらもが欠かせない要素だと指摘する。元高と円安が進むなか、飛行機で2時間半ほどの日本は、時間的・経済的コストが中国の国内旅行よりも低い旅行先となり、多様な商品が選べ、質の高いサービスが受けられると人気になった。
 「中国という巨大な市場を確保するため、日本も多くの努力をしている。日本が中国の春節前にマイナス金利政策を打ち出したのも、円安を維持する意図がある」(孫氏)。

 中国人の「爆買い」は今後もしばらく続くと見られるが、変化の兆しもいくつかある。
 個人でガイドを務める日本籍の華人・李青さんによると、中国に企業経営者や芸術家などのお客からは、日本の代表的建築や日本ならではの寺院を訪れたいといった要望が増えているという。李さんはこうした旅行が「日本観光の新たなトレンドになるはず」と考えている。「爆買い」をする客は、まだいるのか。
 「以前にツアーを率いて回ったときには、空のトランクでやって来て、それが一杯になると、またトランクを買って詰め込むという人もいた。だが最近の客の買い物は、親戚や友人に小さな記念品を買う程度だ」(李さん)。

 中日交流に長らく関わる小野さんは、「日本人も30年余り前には、現在の中国人と同じく『爆買い』していたと聞く。その根本的な原因は、自分がいったい何がほしいのかがわからなかったために、ほかの人が買うとそれにつられて買ってしまうという人が相次いだ。生活が豊かになって、日本人は情操教育や趣味を重視し始め、自らの『こだわり』で消費ができるようになった。中国人も同じ道をたどるはずだ」と語る。

 日本内閣府がかつて行った「国民生活に関する世論調査」では、「今後、心の豊かさと物の豊かさのどちらを重視するか」との質問に対し、1970年代前半までは「物の豊かさ」を選ぶ日本人が多かったが、79年に「心」と「物」がほぼ同数となった。そして81年以降は、「心」を重視する人の方が多くなった。中国でも、日本と同じ軌跡がたどられ、心の豊かさを重視する人が増え続けていくという分析がある。

 孫氏は、日本市場は中国消費者を引き付け始めたばかりであり、飽和状態にはまだほど遠いと指摘する。「爆買い」は、消費傾向の表面的な現象に過ぎない。日本は現在、歌舞伎などの異文化産業の開発や整理を進めており、中国人観光客の内的な需要を満たそうとしている。孫氏によると、「爆買い」がいつ終わるのかは、中国にかかっている。中国企業が頑張れば、中国は国内市場の消費環境を整えることができるはずだという。

(つづく)

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