野村哲郎議員がJA鹿児島から迂回献金、市民団体が刑事告発
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自民党の野村哲郎参院議員(鹿児島県選挙区)が代表を務める野村哲郎後援会彩耀会が、JA鹿児島県中央会から鹿児島県農政連を迂回して、業務委託名目の委託料として、2008年から14年の間に合計2,520万円を受領したのは、政治活動に関する寄付が禁止されているJA鹿児島県中央会からの違法寄付であるとして、市民団体が2月26日、違法寄付受領罪および収支報告書虚偽記載罪で刑事告発した。同日、鹿児島地検に告発状を郵送した。
告発したのは、安保法賛成議員の落選を目的に結成された市民団体「安保関連法賛成議員の落選運動を支援する弁護士・研究者の会」(落選運動を支援する会)。呼びかけ人の上脇博之・神戸学院大教授ら17人が告発人に加わった。告発状や政治資金収支報告書によると、鹿児島県農政連は、JA鹿児島中央会から「農政業務委託」などの名目で毎年950万円を受領し、野村哲郎後援会彩耀会は鹿児島県農政連から毎年360万円を、業務委託料または委託金名目で受領していた。告発人らが調査した08年から14年の間にJA鹿児島県中央会から鹿児島県農政連に合計6,650万円が支出され、さらに鹿児島県農政連から野村哲郎後援会彩耀会に流れ込んだお金は、2,520万円の巨額に達している。
告発人らが政治資金収支報告書を調査したところ、野村哲郎後援会彩耀会の支出内容には、委託された業務を遂行するに必要な支出が一切見当たらなかったとしている。
JA鹿児島県中央会は、政治資金規正法第21条1項の「その他の団体」に該当し、「政党及び政治資金団体以外の者に対しては、政治活動に関する寄附をしてはならない」とされるため、鹿児島県農政連、野村哲郎後援会彩耀会に「政治活動に関する寄附」をすることが禁止されている。告発状によると、禁止されている寄付(政治献金)を行うために、農政業務委託や業務委託料などの名目で、実体のない業務委託を装い、鹿児島県農政連をクッションとして迂回させてJA鹿児島県中央会から違法献金を受けていた疑いが生じる。
告発人の1人である上脇氏は、本来受領できない寄付を業務委託に偽装していて悪質だと批判し、「野村議員はJA鹿児島県中央会の常務理事なども経験していることから、このようなスキームは長年農協ぐるみで継続されてきた可能性が高い」と指摘。「安保法制に賛成した議員であることにプラスして、『政治とカネ』についても極めて不透明な議員」としている。
野村議員の告発は、落選運動を支援する会の刑事告発の第4号。九州・沖縄では、自民党の松村祥史参院議員(熊本選挙区)に続く3人目。野村議員は1969年に鹿児島県農協中央会(JA鹿児島県中央会)に入会して、99年から04年まで鹿児島県農協中央会常務理事を務めた。同年7月施行の参院選挙鹿児島県選挙区で自由民主党から立候補し初当選。現在2期目。ことし夏の参院選挙で改選を迎える。
野村議員国会事務所、鹿児島県農政連、JA鹿児島県中央会は、それぞれ取材に対し、「お答えできる者がいない」などとして、2月26日午後5時時点まで回答がなかった。
【山本 弘之】
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