2024年12月23日( 月 )

カカオ豆から焙煎の九州で初めての数少ない専門店

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(株)八木山高原 代表取締役社長
カカオ研究所 店主 中野 富美子

「Bean to Bar」。カカオ豆から製造する

カカオ研究所<

カカオ研究所

 「Bean to Bar」(ビーントゥーバー)という聞き慣れない言葉がある。これは、豆を仕入れて焙煎・粉砕するところから成形までを1つの工房でつくる、板のチョコレートのことを言う。従来は、成形チョコを溶解して加工するのが主流だが、「Bean to Bar」は数年前、アメリカで工房が誕生し、それがヨーロッパ、そして日本では京都のわずかな店舗で取り入れられている。豆からチョコをつくること。この新しい動きに惚れ込み、それを実践しているのが「カカオ研究所」である。同店は昨年12月11日にオープン後、チラシやPR活動を一切行わなかったが、個人ブログや口コミなどで広がり、噂を聞き付けたチョコファンが駆け付け、地元テレビ局やラジオ局が取材に訪れるほど人気が急上昇している。

 同店のチョコは、完全手作業で行うため、焙煎から成形まで最低でも4日間かかる。そのため、商品単価も市販のチョコと比べても割高だ。しかし、安心安全が謳われるなかで、小さい子や孫を持つ人たちからも支持を受けている。また、出来立てを即食べられるので香りと味を味わうことができる。

 店内には、カカオ豆の産地であるベトナム、パプアニューギニアの豆を使ったそれぞれのチョコがある。苦味があったり、酸味があったりと、微妙な味と香りの違いを愉しむことができる。3月は、どことなくスパイシーな香りのするインド産のカカオ豆を使用したチョコレートを製造した。「今後も、さまざまな産地のカカオ豆を1種類だけ毎月替えて提供したい」と店主の中野富美子氏は楽しく笑顔で話す。

 また、購入前に試食も可能で、コーヒーのみならず、お酒に合うチョコの組み合わせも教えてくれる。チョコ好きの人のみならず、とくにワインが好きな方には朗報と言える。また、高カカオのチョコが健康やストレスに効果があると言われるなか、つくり手の顔が見えることがプラスされ、これがリピートにもつながっているようだ。豆の香りがチョコレートの香りだとすぐわかり、店内にいつもチョコが蛇口から流れ続けている。とくにホットカカオのドリンクは一度は味わいたい味だ。

元さかえ屋の社長夫妻が経営

 実はこの店は、(株)さかえ屋(本社:福岡県飯塚市)の元社長夫妻が経営している。元社長の中野利美氏が製造および研究を手がけ、元副社長の妻・中野富美子氏が店を切り盛りする。両氏はしばらく菓子づくりから遠ざかっていたが、昨年会社を設立し、年末に開業に至った。時間をかけてゆっくり丁寧に仕事をする。得られる利益は少ないものの、楽しみはある。「今までは経営者として、いろいろな束縛の下、仕事をしていたが、今は素直にやりたいことがやれる」と、現在の伸び伸びと菓子の仕事ができる現状を楽しんでいる。同店のチョコを食べて笑顔になる。まさに『口福』をもたらす笑顔に喜びを感じているそうだ。

 今後は、コーヒーに利き豆があるように、将来的にはチョコレートも利き豆によって「自分だけのオリジナル商品を世に提供できれば」と考える。「Bean to Bar」という新しい文化を福岡・飯塚の地から発信し、広めていくのが目標だ。

※記事内容は2015年8月31日時点のもの

<COMPANY INFORMATION>
(株)八木山高原
代 表:中野 富美子
所在地:福岡県飯塚市東徳前17-79
設 立:2014年4月
資本金:100万円
TEL:0948-21-1533
URL:http://cacaoken.com/

<プロフィール>
中野 富美子(なかの ふみこ)
東京家政大学卒。元(株)さかえ屋副社長。同社副社長退任後、2014年4月、(株)八木山高原の設立と同時に代表取締役社長に就任する。バイタリティに溢れ、明るく活発な性格にファンも多い。

 

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