山笠はこの国に必要なもの
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前衆院議員・土居流中土居町旧役員 新開 裕司
ひたむきに取り組み、相手を尊重する
「生まれたときからの山のぼせです」。1歳のとき、母親に抱っこされた山笠の写真が残っている。新開裕司氏がのぼせる山笠の魅力とは?
「人それぞれにあるし、誰もが共通して挙げる魅力もあるでしょうが、私にとっては、言葉では伝えられない思いやりや気づかいなど、思いで伝える文化が残っていることです」。
新開氏は、山笠で人生の基本を学んだと話す。
ひたむきに取り組むこと、相手を尊重すること。「その基本があれば、海外でもどこでも通用する。これがあると、不思議と争いは起きないんです」。
新開氏が所属する土居流は、10カ町。町内が1つの兄弟みたいなものだと言う。「何か間違ったことをしたら、本人だけではなく町の責任者が酒三升持って謝りに行く。だから、間違ったことやスジの通らないことを言えない、世の中、大義が大切だと学ぶんです」。
新しい人を受け入れる素地
山笠には、伝統とともに、「新しい人を受け入れる素地がある」と話す。
どの流も、人口減少や少子化の影響がある。「地元の人だけでやれる状況ではなくなっている。いかに受け入れて、理解してもらい、継承者として関わってもらうかが大事です」。
地域外から参加する新しいメンバーは、山のない期間も、1年を通じて毎月の勉強会や地域行事、飲み会に集まってくる。
とはいえ、「昔からの長老を大事にしているタテ社会」で、「何を言ったか」ではなく、「誰が言ったか」の世界でもある。新しい人には馴染めないこともあるのでは?「ぐだぐだ言わず、『これが博多の山笠たい』と言い切るのが山笠の文化です」と笑う。山笠には、そういう潔さがある。
意見を調整して納得してもらう情熱
トップダウンとは微妙に違うのも山笠だ。
「上が言ったからだけではなく、いろいろな人の考えを尊重しながら、やらなければいけないことをやるのが山笠の文化です。調整しながら納得してもらう手法ですね。それには、リーダーに、情熱がいる」と、新開氏は考えている。妥協するか、事を成し遂げるか、リーダー次第。意見を聞いて調整し納得してもらう情熱があるかどうかが問われる。
「今の社会全体に必要な手法ではないでしょうか。山笠にはそれがあるから、今日まで残っているのだと思います」。
「伝統」と、「新しい人を受け入れる」。この相反する文化が1つに融合し、山笠の魅力を生み出し、それが、1つの目的に向かって600人、700人を束ねて、約1トンの山笠を動かしていく真剣勝負、必死さ、迫力に結実する。
「大の大人が仕事を休んで、夢中になって、一生懸命を全身に表現することは、普通にはない珍しいことですから、見る人を惹きつけるんでしょう」。
祭りも、社会的な価値がなければ淘汰される。山笠には、世の中が欲しているものがあるから残ってきた。「山笠はこの国に必要なもの」と、新開氏は言い切る。
※記事内容は2015年8月31日時点のもの
<INFORMATION>
新開ゆうじ後援会事務所
所在地:福岡市博多区店屋町4-24
TEL:092-282-0155<プロフィール>
新開 裕司(しんかい ゆうじ)
1968年、福岡市生まれ。奈良屋小、博多中、福岡大学附属大濠高校、国立音楽大学音楽学部声楽科を卒業。ザルツブルク・モーツァルテウム音楽院サマーアカデミー修了。福岡青年会議所理事長、福岡県中小企業経営者協会理事などを歴任。2012年衆院選で、自由民主党から比例代表で初当選。14年衆院選で、福岡1区から挑戦するも敗れる。関連キーワード
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