人間は人工知能には勝てないのか?(後)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
人工知能は、すでにいろいろな分野で活用されている。米国腫瘍学会によると、人工知能のガンの診断の精度は、大腸がんは98%、膀胱ガンは91%、すい臓ガンは94%、子宮頸部ガンは100%になっていて、医療分野に活用されてから5年目にすでに医師の診断レベルと同等またはそれ以上になっている。医療だけでなく、金融の分野でも人工知能は活用されている。ヘッジファンドの世界でもすでに人間より人工知能が優れた結果を出しているようだ。米国の5カ所の大学病院では、クスリの処方に人工知能が使われているが、今まで35万件を処理する中で1件のミスもなかったという驚くべき結果も出している。このようになると、人工知能は人間の職を奪うのではないかという危惧するのも無理はない。コールセンターのオペレータをはじめ、かなりの職業は、人工知能に代替されるといわれている。先進国の企業は我先に人工知能に投資をしているので、今後人工知能と人間の協調をどのように実現していくのかも大事な課題である。
最後に、米国と日本は、人工知能にかなりの投資をしている。1996年2月19日にIBMのコンピュータ、ディープブルーがチェスの世界チャンピオン、ガルリ・カスパロフを打ち負かしてから米国と日本は、人工知能に本格的に投資をし始めた。IBMはディープブルー以降自然語処理のできるコンピュータであるワトソンに10億ドルを投資した。グーグルは2001年以降14年間人工知能関連の企業を買収するのに280億ドルを投資した。トヨタも10億ドルを投資し、人工知能研究所を設立している。中国のバイドゥ(百度)もシリコンバレーに3億ドルを投資し、ディープラーニング研究所を設立している。アメリカの人工知能の実力を100にした場合、日本は89.3、韓国は75、中国は71.9になっているようだ。
韓国の人工知能は、先進国と比較すると、技術的に4年くらいの格差があるようだ。韓国は最近の5年間で人工知能に合計180億ウォンの投資しかしていない。サムスン電子、LG電子も最近人工知能チームが社内にできただけである。人工知能は、ビックデータの活用と共にこれからもっと進化を続け、産業のいろいろな分野に競争の源泉になるのは間違いない。人工知能の進化がもたらす結果に議論はないわけではないが、人工知能は未来産業の一つの軸になる可能性を秘めているので、韓国政府も対策に奔走している。
(了)
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