2024年11月26日( 火 )

迷走する東京五輪の聖火台(6)

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 引き続き2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長と周囲の反応などを、取り上げてみることにしたい。

◆2016年3月4日
 メインスタジアムとなる新国立競技場の建設で、採用が決まったA案に、聖火台の設置場所が決まっていないことが判明すると、森喜朗会長が即座に反応した。

◆3月5日
 森会長は、甲府市であった「ラグビーワールドカップ2019日本大会を成功させる山梨の会」の設立総会で来賓挨拶。スポーツ関係者や政財界約500人を前に、新国立競技場の聖火台の設置場所が決まっていないことに触れ、建設の事業主体の日本スポーツ振興センター(JSC)と馳浩文部科学相(54歳)に責任があると発言。それは昨年末、森氏が「B案がいい」と発言した際、「そんなことをいっていいのか」と馳氏が物言いをつけたからだと言われる。

 「聖火台を忘れて五輪会場を作るというのは、親が立派な家を建て、子どもたちが喜んで家に入ったものの、トイレも風呂もなかったという感じですよ」と発言。

 さらに「日本スポーツ振興センター(JSC)という少し頭のおかしな連中が、聖火台を忘れた設計図を作った」。聖火台の設置場所を巡る混乱に「組織委員会ばかりが悪者」「私が悪いと怒られる」などと批判を受けていることに対し、「一番悪いのは馳浩です。文部科学省です」と言い放ったと言う。

◆3月8日
・JSCを監督する立場の馳文科大臣は、森会長が「一番悪いのは馳浩」と発言したことに対して「愛のムチだと思って受け止めます」と話し、さらにJSCは文科省の外郭団体であることから「私が悪いと言われれば、その通りだと思う」とし、「(指摘は)そっくりそのまま受け止めたい。(森氏は)根に持つような方ではないので、わだかまりもありません」と、あっさり白旗を上げている。

 馳氏は元プロレスラー。当時自民党幹事長だった森会長は、1995年の参院選(石川県選挙区)で馳氏を擁立し初当選させている。馳氏を文科大臣に推薦したのも森氏と言われており、頭が上がらないのは、衆目の一致するところのようだ。

<まとめ>
 迷走する東京五輪の聖火台問題にしても、主要な関係者が責任を押し付け合っているように映る。2020年の東京五輪・パラリンピックを成功させるには、政府・大会組織委員会・東京都が一心同体となって、準備をすることが求められている。

 国の競技場である以上、今こそ遠藤利明五輪担当相が全責任を負い、自らが主導して東京五輪騒動を収拾すべきではないだろうか。

(了)
【北山 譲】

 
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