アビスパにJ1の壁が立ちはだかる
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J1のアビスパ福岡は4月2日、リーグ戦第5戦のアルビレックス新潟戦をホームのレベルファイブスタジアムで戦った。結果は、1−0で敗れた。アビスパは、3月27日の2016Jリーグヤマザキナビスコカップで川崎フロンターレに勝利し、今シーズン“初白星”をあげていた。その勢いに乗ってリーグ戦でのシーズン初勝利が期待されていたが、叶わなかった。
前半は、アビスパが試合の主導権を握っていた。開始早々にMF城後寿選手が強烈なシュートを放ち、「今日は必ず勝利する」という強いメッセージが伝わってきた。その後も、全員守備の堅守からボールを奪取してショートパスへつなげ、またロングボールを上げるなどチャンスメークし、再三にわたりアルビレックスのゴール前に迫ったが、あと一歩のところで得点をあげられなかった。41分にアルビレックスのロング・スローインから、ヘディングでディフェンスラインの裏に落とされ、そのボールを押し込まれ先制点を許した。
後半は、終始アルビレックスのペースで試合が進んだ。アビスパGK・イ ボムヨン選手の好セーブと守備陣の粘り強い守りで、追加得点こそ許さなかったものの、アビスパも無得点に終わりタイムアップ。井原正巳監督は、試合後の会見で「前半終了後、選手は落ち込んでいました。後半の最初からシステムを“3-4-2-1”から“4-4-2”に変えて攻撃的に出ました。“よし行くぞ!”という姿勢を、落ち込む選手に見せたかったのです」と述べていた。だが、その効果は薄かった感がある。アビスパの前半の積極的な攻撃が、後半は激減した。アビスパが“消極的だった”と評する声もあるが、決して消極的ではなかったと思う。DF亀川諒史選手・中村北斗選手の両サイドからの切れ込み、MF鈴木惇選手・末吉隼也選手の中盤からの巧みなゲームコントロールは、逆転の期待を持たせてくれた。何よりも、アビスパの持ち味の全員守備で、心身を張ったハードワークも健在であった。
あと1歩のところでアビスパが敗れたのは、ゲームフィットネスとフィジカル、そしてスピードが、まだJ1仕様に到達していないのではないかと推察される。Jリーグが発表するトラッキングデータによると、1試合の総走行距離が、アビスパは114.489km、アルビレックスは121.66km。スプリント回数(時速24㎞のスピードでのランニング)が、アビスパは137回、アルビレックスは142回。明らかにアルビレックスの走力が上回っている。戦法以前に、相手チームに走り勝つことは、ゲームをコントロールし勝利に導くために大切な要因である。後半の残り20分あたりから、アビスパのパスミスや1対1でのボール獲得の競り合いで負けているシーンが散見された。「これがJ1。そうそう簡単に勝てることはない。フィットネス、フィジカルそしてスピードをJ1仕様にしていくことが先決。アビスパはまだ途上だろう」とJリーグの関係者は語る。
アビスパはリーグ5戦を終えて、3敗2分で勝点2の18位、最下位。苦しい状況が続く。古典的かもしれないが、フットボールの原点である走り勝つことにアプローチしてみてはと感じる。
【河原 清明】
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