長崎県宅建協会に異変、県は「調査中」~女性職員と労使問題
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公益社団法人 長崎県宅地建物取引業協会(以下、長崎県宅建協会)に、3月末に長崎県が立ち入り調査を実施するという異常事態が起きている。県は取材に対し、「調査中のため、内容については答えられない」としているが、複数の同協会関係者への取材によると、一部の職員の雇用契約に関するコンプライアンス(法令遵守)の問題や、また、そのことについて決定機関である理事会に諮らず、代表理事の独断で行ったという組織運営上の問題が複数の理事から指摘されているという。
六掛けのさらに六掛け
長崎県宅建協会が現在抱えている労使問題は、32年間、同協会に勤務していたベテラン職員Aに関するものだ。Aは、2014年1月21日に定年退職し、65歳まで継続雇用するという同協会の定年後継続雇用規程に基づく、1年更新の労働契約を行っていた。この際、同協会が最終的に提示した労働条件は、退職前の六掛け(6割)の賃金、勤務時間5時間、社会保険等加入ありというもの。当初、勤務時間は4時間とされ、社会保険等の加入がないことから、Aは協会側と交渉し、最終的な条件で落ち着いたという。
2年目の契約更新を直前に控えた14年12月末、Aは、同協会の会議室に呼び出された。Aを会議室で待っていたのは、代表理事を含む常務理事会のメンバー5名。そこで提示された2年目の労働条件は、1年目の条件をさらに六掛けにしたという内容だった。労働時間を6割すなわち3時間に減らし、それにともない、賃金も6割に減らすというものだ。社会保険等への加入はない。定年退職前の約36%という労働条件になる。
同協会の定年後継続雇用規程には、「原則として、給料の改定はしない」と定められているため、Aは説明を求めたが、常務理事会側は、「原則としてであって、条件等により変更して構わない」という見解が示された。その場で回答を出さなかったAは、弁護士や全国一般長崎地方労働組合へ相談。その後、組合を交えた労使交渉が始まっているという。
長年勤続し、同協会に貢献してきたベテラン職員に対する六掛けのさらに六掛けという労働条件について、同協会会員からは、「一般企業でも見られない、あまりにも酷い仕打ちだ」という声があがっている。また、「社会的に誤解を招きかねない労働条件の変更に関し、決定機関である理事会に諮らず決めていることは、公益法人の組織運営としてあるまじきこと」との声もある。
さらに、Aは女性であることから、「密室のなかで男5人(常任理事会)と対面し、厳しい契約条件を示すやり方は、遠回しに退職を迫るパワハラとも捉えられかねない」と、危惧する声もある。実際に、Aは後に、「(会議室で)やめなければいけないと思った」「重圧を感じた」と語っているという。公益法人は、国民の信頼を前提として税の優遇措置を受けている存在だ。長崎県宅建協会は、13年4月1日に公益社団法人に移行して2年が過ぎたところであるが、「公」の自覚はあるのだろうか。
【山下 康太】
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