九州FG誕生~金融再編の行方を占う(2)
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肥後銀行と鹿児島銀行の経営統合による九州FGが誕生すると、九州を本拠地とする金融グループは、ふくおかFG(福岡・熊本・親和銀行)と西日本シティ銀行グループ(西日本シティ・長崎銀行)の3グループとなる。
この3グループの財務内容を【表1】【表2】から比較検討していくことにしたい。<表から見えるもの>
◆16年3月期の第1四半期(15/6月期)の預金残高1位はふくおかFG。2位は肥後銀行+鹿児島銀行(以下九州FGと表記)。3位は西日本シティ銀行グループ(G)で変動はなかった。
◆ふくおかFGの預金残高(単体合計)は、12兆9,472億円。そのうち福岡銀行は9兆3,027億円で、グループ全体の71.8%と高い比率となっている。
◆九州FGの預金残高は7兆8,788億円(前期比1,362億円増)。このなかで肥後銀行が▲144億円に対して、鹿児島銀行は1,506億円増と大幅に伸ばしているのが目立つ。
◆西日本シティ銀行Gの預金残高は7兆8,562億円(前期比2,900億円増)。15/3月期には九州FGに▲1,764億円だったが、第1四半期でわずか▲226億円まで肉薄。「九州FGを追い抜き追い越せ」と、必死になっているのが見て取れる。
◆貸出金残高ではふくおかFG、西日本シティ銀行G、九州FGの順で変動はなかった。ただ九州FG内では、肥後銀行と鹿児島銀行の貸出金残高が共に2兆6,666億円となっているのが目を引く。詳しく見ると肥後銀行は 2兆6,666億56百万円で、鹿児島銀行は2兆6,666億54百万円。偶然の一致とはいえ、その差がわずか▲200万円だったのは、お互いに気遣っているかのように見える。
◆ふくおかFGの総資産(15/6月期)は15兆9千億円余りで地銀トップの座を引き続き確保している。ただ来年4月1日、横浜銀行と東京を主な地盤とする東日本銀行力が経営統合し、「コンコルディア・フィナンシャルグループ(FG)」を設立して経営統合するため、その座を譲ることになる。
◆九州FGの総資産(単体合計)は8兆8,910億円。一方西日本シティ銀行(単体)は8兆7,447億円。わずか3カ月間(第一四半期)で前期比1,508億円増と大幅に伸ばしており、その差はわずか1,463億円。九州FGと西日本シティ銀行の中間決算(15/9月期)における総資産の動きに、金融関係者の注目が集まることになりそうだ。
◆九州FGは西日本シティ銀行を抜いて地銀9位に躍進するが、地盤は南九州に偏っており、盤石とは言えない状況だ。ふくおかFGや西日本シティ銀行と競うには、新たに経営統合に参加する銀行を増やして、拠点網の整備を進めていくことが、今後の大きな経営課題と言えそうだ。(つづく)
【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】関連キーワード
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