昆虫食のグリラス(徳島市)が破産申し立て かつて学校給食で原材料提供
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昆虫食の開発・生産・販売を行う(株)グリラス(本社:徳島市、渡邉崇人代表)が、徳島地裁に破産手続きの開始を申請したことが分かった。負債総額は約1億5,000万円。
グリラスは徳島大学発のベンチャー企業として2019年に設立。食用コオロギの粉末を使った製品を製造、また原材料としてコオロギパウダーが同県内の学校給食でも利用されるなど注目を集めた。
ところが、給食として提供されたニュースがSNSで拡散されると、「子どもに食べさせるな」などといったクレームが同社へ相次ぎ、大量の在庫を抱えるようになったという。
国連や国は推奨するも他業者でも破綻
同様の業者としては、長野県茅野市に養殖場をかまえ食用コオロギの養殖・加工を手がけるクリケットファームが今年1月に破産手続き開始決定を受けた。関連会社も含めて負債総額は2億4,290万円。
昆虫食の推奨は、国連の食糧農業機関(FAO)が2013年に発表した「Edible Insects: Future Prospects for Food and Feed Security(食用昆虫:食料と飼料の未来の可能性)」を契機とする。この報告書では、今後、世界の人口が増加していくにあたり人類は深刻な食糧難に直面するとしたうえで、昆虫食を、栄養価が高い(高タンパク、ビタミン、ミネラルが豊富)、環境負荷が低い(飼育時の温室効果ガス排出や水使用量が少ない)、飼育コストが低い、貧困層の栄養改善に寄与できる可能性があるとして普及を呼びかけていた。
日本政府の推奨は限定的ではあるが、環境省は、持続可能な開発目標(SDGs)の一環として、昆虫食を含む環境負荷の低い食料システムの可能性を探る動きがあり、また、農林水産省も、昆虫を食用・飼料用として利用する研究開発や普及活動に一定の補助金を出すなど、地方自治体や研究機関との連携で、昆虫食に関する試験的な取り組みをサポートしている。
これを受けて、一部の自治体では農山村地域の地域おこしとして、民間企業や大学などと提携し、昆虫を使った食品(スナック、パウダー、プロテインバーなど)や、飼料としての研究を進めるなどしている。
【寺村朋輝】
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