技術者5名で年間1,300件 ブローカー末広産業のありえない仕事ぶり
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杭打業者税金ピンハネの実態(5)
福岡市発注の公共工事において、納税者をあざ笑うような杭工事業者の受注実態が発覚した。問題の工事業者は福岡市西区に本社を置く末広産業(株)(佐藤九一郎代表)。従業員わずか5~6名、工事用の機械も持たない同社が一次下請に入り、工事代金の一部を事実上ピンハネしている状況だ。データ・マックスは、同社が施工に関与した公共工事の関連文書を福岡市に情報公開請求。入手した資料から、過去3年間の市発注工事において、同社が施工に関わった26件すべてが一次下請であったことが判明した。施工体系図や下見積書からそのありえない実態を報告する。
つじつまの合わない数字
毎年、建設業者が県に報告する決算届で同社の施工件数を確認した。次の表は同社のとび・土工・コンクリート工事の件数である。杭工事はこの種目に含まれる。
当然、施工件数が伸びれば完工高は増える。ここで疑問に思うのが、技術者の少ない同社にこれだけの件数をこなせるのかということ。一次下請といっても、配置技術者を現場に常駐させる必要がある。15年3月期を見ると、施工件数は1,378件。びっくり仰天。常識的にはあり得ない施工件数である。つまり1年間に1,378の現場に、技術者を配置したということ。同社のその年の配置技術者名を確認すると、わずか5名。1,378件という数字が正しいとすると、技術者一人に対し年間平均275件の現場を担当させていることになる。年間勤務日数は通常、250日前後。この数字を見た業界関係者も「ありえない数字。200、300という数字も多すぎる」と驚いている。
また15年3月期に工事履歴として、県に報告しているのは計33件で、それを合わせて総完工高7億円ほどになる。通常、完工高の7割を報告しなければならないが、件数が多い場合は500万円以下の軽微な工事を10件報告すれば、それ以上の記載は必要ない。同社の報告では、33件目となる最後の記載が100万円の工事で終わっている。つまり、1,378件から33件引いた1,345件が100万円以下の工事となる。いくら軽微な工事といえども、請け負った以上は、監理責任があり、技術者の配置は必要。もともと大型工事を得意とする同社が、本当に1,300件を超える軽微な工事をやっているのだろうか。
一連の疑問点に関し、同社代表に質問状を提出。指定した期限までに回答は得られなかった。得られたデータから、工期と配置技術者を並べてみると、同一技術者が同一時期に複数の現場を担当していることも判明した。
(つづく)
【東城 洋平】▼関連リンク
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