杭打ち「末広産業」に建設業法違反の疑い~九地整「詐欺の可能性も」
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福岡市西区に本社を置く杭打ち業者「末広産業 株式会社」(佐藤九一郎代表)が、福岡県に虚偽の工事経歴を報告した疑いが浮上した。
同社が県に提出した決算変更届記載の工事経歴を精査するため、実際の施工参加業者を表す「施工体系図」を確認したところ、複数の公共工事で施工実態がないことが判明。事業に介入し、利益だけを吸い上げていた疑いがある。
虚偽記載の悪質性が認められれば、建設業法違反で所轄庁が刑事告発する可能性も。工事代金を受け取っていながら施工していないことになれば、詐欺的行為にあたるとの見方も出ている。データ・マックスは、末広産業が工事経歴として福岡県などに報告した公共工事の施工体系図を、発注した自治体に情報公開請求。入手した資料から、「末広産業」の施工参加が確認できない複数のケースがあることがわかった。
工事経歴と施工実態に整合性がないことを、九州地方整備局に通告したところ、同局は「通常はあり得ない事態。同社は県知事許可業者なので、県が虚偽記載を悪質と認めれば、建設業法に則り、刑事告発もあり得る。仮に工事代金を受け取っていながら、施工に関与していないことになれば、詐欺的行為と言わざるを得ない」とコメントしている。
建設業許可を得た建設業者は、毎年事業年度終了後に「決算変更届」を提出することになっており、1期分の工事経歴についても建設業法で定めた基準でまとめて報告している。末広産業は2015年3月期の決算変更届において、次の工事経歴を福岡県に報告していた。
データ・マックスは同工事の発注者である中津市役所に対し、同工事の施工体系図を情報公開請求し、6枚にわたる施工体系図を入手。下請業者を確認したが、「末広産業」の名前は確認できなかった。この件について、中津市役所都市整備課管理係に問い合わせたところ、「同件施工体系図に『末広産業(株)』の社名が記載されていないのは間違いない。元請会社から提出される下請け報告書も確認したが、存在しない」との回答を得ている。
施工体系図が示すように、末広産業は施工に関与しておらず、福岡県への報告が虚偽だった可能性が高い。
報告された請負金額はその期の完工高や売上高を構成するものであり、同社が上記請負金額を受け取ったのは事実。工事代金を受け取っていながら、実際の工事には関与していなかった疑いがある。なお、福岡市発注の大型工事でも同様の「不一致」が確認されており、次稿で詳しく報じる予定だ。【東城 洋平】
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