シリーズ・金融機関淘汰の時代がやって来た(1)
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日本銀行には経営圧力を浴び、金融庁は他人事の振る舞いに終始する。バンカーは必死に融資先の開拓に奔走するが、おいそれと貸出先が見当たらない。2016年上半期決算は、苦しい数字が上がってくる。『一体、金融機関はどうなるのか?』――シリーズで報告する。
金融庁も合併・吸収の加速化、推進を公言
バンカーたちは今、どこに腹いせ・愚痴を吐けばいいのだろうか?同情する(もちろん、今どきバンカーと呼ばれる人物がどれだけいるかは、疑問である)。金融機関をカバー・庇護する存在が、現在に至って妨害・敵対する行為に奔走しているのである。日本銀行というか黒田東彦総裁は、面子のためにマイナス金利政策を導入した。『2%物価アップ』も無理なようであるし、目新しい成果は出ていない。
その間に、地方銀行は逆ザヤとなり、赤字収益体質が頑強となった。『貸して利ザヤを稼ぐ』のが金融機関のビジネスモデルである。このビジネスモデルを、日銀・黒田総裁の名誉欲を保つために粉砕された。新たな収益体質を構築するには、全組織メンバーの悲壮な覚悟と行動力が必要だ。
だが、バンカー・金融機関関係者に、そういう必死な豹変することを強要しても無理である。それがわかって、銀行潰しの政策を続行する。それこそ日銀政策が銀行を潰すとは、天と地が逆さまになるほどの驚きである。またまた驚きの発表があった。金融庁からの冷酷な告知である。
「もう地方銀行が貸出で収益を得るのは至難の業になる。今後、地方銀行の統合を推進して組織を拡大しないと、成り立たない」と宣言しているのである。「もう第一地銀とか第二地銀の垣根を越えるどころか、九州エリア内で合併、そして地方を越えた合併もあり」と言いきっているのだ。本来、金融機関を守るべき立場のはずの、金融庁の冷酷な処置には愕然とするばかりである。バンカーたちの悲鳴が、鳴き声が伝わってくる。週刊誌も潰れる特集を組む
週刊現代10月15・22日特集号で、“衝撃スクープ”と銘打って『まず、信用金庫、地方銀行、そしてメガバンクへ、このままでは銀行が潰れる』という見出しがアップされている。読んでみたが、迫力がある。興味津々ではなく、『我が会社の防衛のため』に読んでみられることをお奨めする。
取引銀行の先行きを知っていないと、預金を下ろせない最悪の事態に巻き込まれることも考えられる。しかし、週刊誌にすら『銀行が潰れる』と書きまくられたら、世も末だ。内容には、一程度の信憑性も書かれてある。銀行・金融機関の経営行き詰まりの原因は、(1)上記した現在の日銀のマイナス金融政策で『利ザヤが取れない』ことだ。(2)は地方においては人口が減り、産業活動が停滞し始めたことで、金融機関の前途が描けなくなったことである。(3)さらに預金は増えるのだが、貸出先が見当たらないという厳しい現実があるということだ。
たとえば、弊社で行った福岡県の『ゼネコン・デベロッパー市場調査』のデータからである。下記の資料を参照されたし。一番、借りてくれるとみられている業界でも、融資量が増えていないのだ。ゼネコン66社での借入総数が、2014~16年の3年間で、8億4,471万円の増に留まっている。16年は1社増えて67社で、わずか2.3%にしか過ぎない。
デベ34社の借入総数は14~16年までで61億5,781万円の増、これまた1.4%しか伸びていないのである。融資先が見当たらないとなれば、将来性は暗いということだ。取引に当たって、企業側が銀行を真剣に判定する時代となった。
(つづく)
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