必要のない公共事業が福岡の幽霊コンサル業者へ
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「地方創生・奇跡の町」徳島県神山町で判明した、公共事業の随意契約とその不明朗な業者選定。遠く離れた福岡の「幽霊会社」が業務委託先として選ばれようとしていた。観光名所「神山温泉」の経営診断事業をめぐり、業者決定寸前で始まった地元紙の報道。問題視されたのは、コンサル業者の選定方法だった。
入札なく、幽霊会社選ばれる
公共事業であることから、競争入札により指名業者から選定されるべき。しかし、実際は福岡市に在住する神山町関係者の口利きにより、“随意契約”で「カーディナリス有限会社」(本社:福岡市中央区、井上順一代表)に発注されることになっていた。業者選定に疑問の声が上がったのは言うまでもない。
神山町には、「神山温泉保養センター」および「ホテル四季の里」を運営する第三セクター「株式会社神山温泉」がある。同社は1993年4月に設立され、現代表は後藤正和・神山町長。町では観光分野を強化するべく、2016年4月、一般社団法人「神山つなぐ公社」を設立し、町職員や地域活性化に詳しい専門家らを理事に選任していた。
神山温泉は同町の有力な観光資源のひとつである。そこで、将来に向けて経営診断事業を行うことが決定され、同年6月に公社への助成事業費300万円を予算組み。内部で業者選定を進め、9月には今回問題となっているカーディナリス有限会社に絞り込まれていたという。町幹部に同社を紹介したのは、福岡市内に住む「神山つなぐ公社」の理事だった。
不要な経営診断事業か
経営診断の目的は「経営状態の改善」以外にない。そこでコンサルタント業者の出番となるが、そもそもこの神山温泉、経営はいたって順調。事業は安定していた。近年は4億円台の売上高で推移しており、利益も計上している。経営不振とは無縁の事業で、わざわざコンサルにお出まし願う必要などない。経営強化という言い訳もあろうが、関係者の話では、「降って湧いたかのように観光強化という話が飛び出した」という。経営コンサル業者のために仕事を作るような動きだと捉えられてもおかしくはない。
入札方式にも疑問が残る。“随意契約”とは、専門性が高い事業で、実績のある特定業者に発注せざるを得ない場合にだけ認められるもの。ところが、カーディナリスは「幽霊会社」だと地元紙が報じている。改めて調査してみると、たしかに「幽霊会社」と言うしかない同社の実態が明らかとなった。
【東城 洋平】
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