2024年12月22日( 日 )

なぜ現代表は「業務上横領」で会長を訴えないのか 理解できない態度に関係者苛立つ

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

 実質経営者が会社の資金を持ち出し、消息を絶っている建設会社、九菱地所(株)(所在地:福岡市南区、松下照海代表)については既報の通りだ。会社の資金を流出させた業務上横領の疑いがあるのは「自称」会長の松下宗正氏だ。宗政氏が消息を絶ってから1カ月以上が経過しているが、事態は一向に進まない。その要因のひとつが、現代表の松下照海氏の態度にあるようだ。

業務上横領は明白だが

今となってはむなしい注文書
※クリックで拡大

 宗正氏が会社の資金を流出させ、経営が立ち行かなくなっているのは事実だ。会社にとっては一大事なはずなのだが、代表である照海氏の動きがあまりにも遅い。関係者からも「なぜ訴えないのか?」と疑問の声が浮上してきている。照海氏は同社の株式を100%保有し、登記上も代表取締役を務めている。経営責任は照海氏ひとりが負うことになるのだが・・・。

 現場がストップし、支払いが滞る。取引先に迷惑をかけるだけではなく、自社の存続も危ぶまれる事態だ。このような状況になれば、誰だって、まず失踪した会長を血眼になって探すだろう。しかし、現実はそうではないらしい。

 関係者によると、宗正氏の消息を必至で追っているのは、取引先関係者だというのだ。回収のために、金を持ち逃げした相手を探すのは当然だ。立ち寄りそうな場所を回っているというが、いまだ手掛かりはない。一方、最も責任の重い照海氏が駆けずり回って会長を探しているという話は、一向に聞こえてこないのだ。

 自分たちで見つけられないなら、他にも打つ手はある。資金を持ち逃げしている宗正氏に対し、会社は「業務上横領」を問えるはずだ。そうすれば、警察が出動する可能性はある。即座に法的手続きを考えてもおかしくないが、なぜか照海氏は動かないのだ。

 記者が最初に照海氏とやりとりしたのは、6月28日だった。そのときもまだ法的手段を講じていなかった。当時、照海氏は「宗正会長とは、6月9日午前中までは連絡がついたが、午後以降一切連絡が取れていない。まだ弁護士に相談していないが、土曜日(7月1日)には相談する」と語っていた。

 7月6日、某所に関係者が一同に集まった。記者も身分を明かし、同席した。すでに法的手続きを進めているとは思っていたが、あえて確認してみた。

 返ってきた答えは「弁護士に相談したが、内容はあくまでも私の個人債務について。(業務上横領など)法的手続きはいつでもできるから、話は進めていない」という到底理解できないものだった。

 本当に宗正氏を見つけ出したいと思っているのなら、可能性のある手段を即座に実行しているはずだ。それをせずに、1カ月以上が過ぎている。「本当に探す気はあるのか?」と、関係者のいら立ちはピークに達している。

【東城 洋平】

▼関連リンク
・失踪中の建設会社「自称」会長 明らかになった過去
・実質経営者失踪の建設会社 不可解な組織変更は偽装工作か
・福岡市の建設業者 実質経営者失踪、業務上横領の疑いも

関連キーワード

関連記事