2024年11月20日( 水 )

横領・失踪の実質経営者「私に責任はない」 九菱地所のトンデモ準備書面

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被告松下宗正氏の準備書面

 実質経営者が会社の資金を持ち出し、失踪。取引先への未払いが発生していた九菱地所(株)が、下請施工会社から請負工事代金などをめぐって、福岡地裁に訴えを起こされている。

 問題の実質経営者とは、九菱地所会長の松下宗正氏。昨年6月、取引先への支払い日直前に、会社の金を持ち出したまま突然連絡が取れなくなり、以降関係者が行方を捜したものの、いまだ連絡も取れない状況。業を煮やした下請施工会社は昨年10月、宗正氏に対し、請負工事代金を求める訴えを起こしていた。

 今年に入って、宗正氏が代理人を通じて提出した準備書面には、原告の心情を無視した“言い訳”が記されていた。要旨をまとめると以下の通りだ

 私は、九菱地所の代表者として、福岡県遠賀町の土地を2017年4月に購入・転売し、利益を得ようとした。しかし、データ・マックスが原告から得た情報をもとに、松下宗正の横領・失踪について報道。取材記事がネットで拡散されたため、当初予定していた買い主から購入を断られた。

 その後、九菱地所の現社長が同年8月、別の企業に土地を売却したことで、転売での資金獲得が難しくなった。そのため、私に責任はない。

 下請業者への未払いに対する謝罪は一切なく、自己弁護のみ。原告が最もいら立ちを感じているのは、突如連絡を絶ち、行方が分からなくなったことだ。宗正氏は利害関係者と連絡を絶っている状態には一切触れず、「土地が売却できなかったことで、資金が工面できなかった」としているが、その理由をNetIB-Newsで、「横領、失踪」と報じられたためとしている。原告はもちろんだが、当事者ではない取材班も、この言い訳に開いた口がふさがらない。土地の売買成立によって、支払いに充てる資金ができるかどうかは、宗正氏本人の問題であって、下請業者には何の落ち度もない。

 下請施工代金は、問題となった物件の施主から受け取った工事代金から払えばいいだけの話。今回の事案と関係はない。資金の流れは疑惑のまま、何ら明らかになっていない。

 さらに、8月に九菱地所の現代表が訴外法人に土地を売却したことで、資金調達が不可能となったとしているが、その間九菱地所とも連絡を絶っていることは関係者の証言によって確認済み。そもそも株式も持たず、役員でもない宗正氏が会社資産の売却に口を出す権利はない。宗正氏が会社の資金を持ち出したことを受け、現代表が資金調達のために土地を売却しただけなのだ。すべては会社の資金を持ち逃げした宗正氏に原因がある。

 仮に土地の売買により、資金捻出を本当に考えていたのなら、その事情を取引先に「土地が売れるまで支払いを持ってほしい」と話し、了解をもらうのが筋だろう。突然姿を消し、半年以上連絡を絶ちながら、裁判資料で身勝手な言い訳をしてくる宗正氏。まずは関係者の前で謝罪すべきだろう。

【東城 洋平】

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