2024年11月23日( 土 )

郵政民営化は国民固有の資産の収奪

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は、日本の政治のメインテーマのひとつと植草氏が指摘する「日本郵政の収奪」について触れた、4月25日付の記事を紹介する。


 日本政治のメインテーマは「日本収奪」である。日本政治が日本収奪を推進していることは驚きであり、また悲しむべきことであるが、残念ながらこれが現実である。日本収奪は3つの側面から推進されている。

1.日本郵政の収奪
2.自衛隊の米軍指揮下への編入
3.TPP

 小泉竹中政権が強引に強行した郵政民営化。その本質は米国資本による日本収奪である。そして、その収奪利権に多くの関係者がハイエナのように群がった。その氷山の一角が「かんぽの宿」である。「かんぽの宿」は日本郵政に帰属する不動産資産のひとつだが、日本郵政は日本有数の不動産所有企業である。日本郵政が保有する不動産資産も、もちろん日本収奪の重要なターゲットのひとつだった。
元郵政省高官で日本郵政公社常務理事、日本郵政副会長を務めた中央大学客員教授の稲村公望氏と金融財政学者の菊池英博氏が新著を出版された(『「ゆうちょマネー」はどこへ消えたか~“格差”を生んだ郵政民営化の真実』)。

 折しも、日本郵便社長に三井住友銀行出身で三井住友アセットマネジメント社長の横山邦男氏を起用する人事が報道されている。横山氏は日本郵便の社長に就任するだけでなく、日本郵政株式会社の取締役も兼務する予定である。これらの人事も、「日本収奪」の具体的な表れのひとつである。
郵便、貯金、保険の三業務を日本郵政が担ってきた。そして、日本国民は国営の貯金事業、保険事業に、資金を投入してきた。郵政マネーは公共マネーであり、民間マネーとは明確に峻別され、公共性の高い分野への資金供給源とされてきた。日本郵政は日本国民固有の財産であると言って良い。

 そこには、350兆円もの資金、そして、日本有数の優良不動産が保蔵されてきた。その優良不動産のほんのひとかけらが、「かんぽの宿」資産であった。

 「郵政民営化」とは、この日本国民固有のかけがえのない資産を、ハゲタカとそれに群がるハイエナが収奪する計画のことであった。その収奪計画を担う日本における代理人=エージェントが「売国者」である。

 これらの問題は、拙著『日本の独立』に詳しい。Ⅱ小泉竹中政治の大罪、第10章 平成の黒い霧(1)新生銀行上場認可、第11章 平成の黒い霧(2)りそな銀行の乗っ取り、第12章 平成の黒い霧(3)郵政米営化・郵政私物化、第13章 平成の黒い霧(4)「かんぽの宿」不正払い下げ未遂事件をご高覧賜りたい。

 破綻した日本長期信用銀行はタダ同然の価格でリップルウッドに売り渡され、リップルウッドは、新生銀行の上場認可で巨額の利益を確保した。そして、りそな銀行が標的にされた2002年から2003年にかけての日本の金融危機で、三井住友銀行はゴールドマン・サックスの資金によって延命したが、このゴールドマンこそ日本収奪のカギを握る存在である。

拙著第10章から引用する。

「『文藝春秋二〇〇九年一月号』のインタビュー記事「麻生総理の器を問う」で読売新聞の渡邉恒雄氏が次のように述べた。「僕は竹中さんから直接聞いたことがあるんだが、彼は「日本の四つのメガバンクを2つにしたい」と明言した。僕が「どこを残すんですか?」と聞くと、「東京三菱と三井住友」だと言う。あの頃はまだ東京三菱とUFJは統合していなかったんだが、「みずほとUFJはいらない」というわけだ。
どうして三井住友を残すのかというと、当時の西川善文頭取がゴールドマン・サックスから融資を受けて、外資導入の道を開いたからだと言う。「長銀をリップルウッドが乗っ取ったみたいに、あんなものを片っ端から入れるのか」と聞くと、「大丈夫です。今度はシティを連れてきます」と言った。今つぶれかかっているシティを連れてきて、日本のメガバンクを支配させていたらどうなったか、ゾッとする。」

 このやり取りで、竹中氏は「大丈夫です。今度はシティを連れてきます」と発言している。「長銀をリップルウッドが乗っ取った」ことを否定せず、竹中氏がゴールドマン=リップルウッドを連れてきたことを示唆している。渡邉氏の証言が真実であれば、重大な問題である。
この問題は、ゴールドマン・サックスが実質支配した三井住友銀行トップの西川善文氏を民営化後の日本郵政社長に据えて、郵政資金をそっくり米国に提供しようとしたとの疑いにつながるものである。」

※続きは4月23日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第1421号「ハゲタカによる日本収奪を手引きする売国者たち」で。


▼関連リンク
・植草一秀の『知られざる真実』

 

 

関連キーワード

関連記事