2024年12月05日( 木 )

てまひま堂、社内木鶏全国大会で最高賞

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吉岡靖雄社長(左)と松本一絵社長室長<

吉岡靖雄社長(左)と松本一絵社長室長

 (株)てまひま堂(本社:鹿児島市唐湊、吉岡靖雄社長)は14日、(株)致知出版(本社:東京都渋谷区、藤尾秀昭社長)が主催する「第6回社内木鶏会全国大会」に九州地区代表として出場し、最高賞の「感動大賞」を受賞した。

 全国1,000社のなかから大会に駒を進めたのはてまひま堂のほか、関東地区代表のアカオアルミ(株)(赤尾由美社長)、甲信越地区代表の(株)トラベルマスターズ(鹿島純一社長)、東海地区代表の中日本興業(株)(服部徹社長)、近畿地区代表のメットライフ生命保険(株)大阪桜ノ宮A/O(正司恵一マネージャー)の4社。
 大阪駅ビルのグランフロント大阪コングレコンベンションセンターを埋め尽くした1,500人を超える来場者の前で、社内木鶏会を通じて培った人間力と会社力を競い合った。

 大会では、エントリー企業のビデオ紹介が行われた後、社員と社長の感想発表、社員一同による会社にエールを送るパフォーマンスが披露された。来場者の投票によって審査が行われた。
 各社とも、これまでに乗り越えてきた苦難の道程、木鶏会を通じて得た自らの「気付き」を来場者に訴えた。

藤尾社長から表彰状を受け取る吉岡社長<

藤尾社長から表彰状を受け取る吉岡社長

 てまひま堂は、コールセンターチーフの高橋麻梨恵氏が社員を代表して感想を発表した。「自分のためになるかという基準で物事を判断する自己中心的な人間。対応が事務的で冷たいと上司に指摘されるような社員だった」と自らを振り返った。ある日、70代の男性客からクレームの電話を受けたときのエピソードを発表した。
 男性は激しく怒って「社長を出せ!」とまくしたてたという。「自分のせいではないのに、なぜ自分が責められなければならないのか」と思いつつ、顧客の剣幕を持て余しているときに、自分の異変に気付いて電話を代わってくれた上司が頭を下げ、顧客の気持ちに寄り添いながら聞き役に徹し、最後には笑い声まで交えて和やかに対応していたと述べた。その姿を見て、「上司と自分の対応のどこが違うのか」と思い悩み、悶々とした日々が続いたと述懐した。
 その後に読んだ「致知」に書かれていた「小さな繁盛店はこうして作られた」(2011年1月号)という記事を紹介。「おいしくない」という顧客からの声に対し、スーパーの惣菜部の店員が「レシピ通りに作りました」と、レシピのせいにする姿に自分を当てはめて考えてみたという。「自分は一生懸命にやっているという驕りが、お客様の声に耳を傾けられず、お客様の気持ちにお応えしようという気持ちになれなかったのだ。上司と私の違いはここだ!」との学びを得たことについて話した。「これからは、この気持ちをてまひま堂DNAとして、後輩やこれから誕生してくる子どもにも伝えていきたい」と宣言した。

 吉岡社長は23歳からいくつかの事業経営に携わり、60歳でてまひま堂を創業した。2期連続の赤字を出し、経営に七転八倒しているときに、知人から「致知」をプレゼントされた。同書に目を通し、そこそこの業績は上げながらも大成しない自分には人間力が不足しているということに気付かされた。8年前に木鶏会を社内に導入し、今ではパートを含めて400人のスタッフ全員で取り組んでいる。
 同氏は幼い頃、太平洋戦争で父親を失っている。米軍の本土空襲から逃げ惑うなか、母親のわき腹を貫通したB29の流れ弾が自分の太腿も貫いた。今生きていられるのは、27歳の若さで戦死した父親のおかげだと感じているという。父親の分も生き抜きたいという思いで、60歳という高齢にもかかわらず健康食品の通信販売会社を起業した。

出場を前にした控え室<

出場を前にした控え室

 「てまひま堂は過去の事業の集大成。事業をホンモノにするには何が必要か?」との思いに駆られ、人間力を高める心の教育に力を注いだという。そのために欠かせないのが「致知だった」と話している。
 導入当初は、木鶏会の当日になると欠勤する社員がいたり、(無駄な時間を使わずに)営業に注力してはどうか、と言う社員など、「抵抗勢力が多かった」(吉岡社長)。そのうち、馴染めない社員は会社を去り、いずれそのような声も消え、今では全員が木鶏会に進んで参加している。今では「400人が1人。400人が1人称」が同社スタッフ全員の合言葉となっている。

 最後に演じられたパフォーマンスでは、襟に社名をあしらったオレンジ色の法被姿で総勢50人の社員が登壇し、鹿児島から運びこんだ神輿を担いで迫力のあるエールを送った。吉岡社長は受賞の挨拶で喜びの涙に声を詰まらせた。

 鹿児島から応援に駆けつけたオペレーターの東(ひがし)さんは、昨年10月から社内木鶏会に参加している1人。「苦しいときに話を聞いてもらったり、喜びをもらったりと、元気をいただくことができる」とし、「てまひま堂に来てよかった」と喜びを表わしていた。

全身で受賞の喜びを表わす社員<

全身で受賞の喜びを表わす社員

【田代 宏】

 

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