対米隷属安倍政権に沖縄県民総意の怒り
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NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。6月19日に沖縄で米軍関係者による暴行殺人・死体遺棄事件の抗議集会が開かれた。沖縄では米軍基地撤退を求める動きが広まっており、7月の参院選で安倍政権はその意志を突き付けられると指摘している。
7月10日の参議院議員選挙の争点は、安倍政治を許すのか、それとも、許さないのかである。安倍首相はアベノミクスが争点であると言うが、失敗したアベノミクスを主権者がどう評価するのかが争点であると言うなら、それはその通りである。アベノミクスというのは、一握りの大企業と富裕層の利益だけを追求して、一般庶民には苦しみだけを押し付ける経済政策のことである。これに賛成する人も、数は少ないだろうが存在するだろう。しかし、アベノミクスの意味をよく理解できる主権者の大半は、反対だろう。誰しも、苦しみを押し付けられることを希望はしないからだ。一般労働者の実質賃金は3年連続で減少し、非正規労働者は増加する一方である。経済成長率はかつての民主党政権の約3分の1に留まっている。良くなったのは、日本の上澄みの0.05%の大企業の収益だけなのだ。こんな「アベコベノミクス」「アホノミクス」を高く評価する主権者はまれにしか存在しない。
参院選で私たちが判断するべきことは、アベコベノミクスの問題を含めて、次の五つだ。
原発
憲法・戦争法
TPP
基地
格差
だ。
アベコベノミクス・アホノミクスとは、最後の格差の問題であり、大資本のためだけの経済政策ということで言えば、TPPがこの問題の核心である。政治は、本来、すべての国民の幸福を実現することを目的とするべきものだ。ところが、安倍政権の政治は、一握りの人々の幸福だけを追求し、その一握りの人々の幸福を追求するために、他の大多数の人々に苦しみを押し付けることを推進している。主権者はこの事実を正しく認識して、この安倍政治を終わらせなければならないのだが、安倍政権の情報操作に騙されて、安倍政治を否定する行動が、まだ十分には盛り上がっていない。7月10日の参院選に向けて、主権者の正当な行動を促してゆかねばならない。昨日、東京・新宿のアルタ前で実施された「安倍政権NO!☆0618新宿大街宣」
で、私もスピーチをさせていただいた。YOUTUBEに映像がアップされているのでご高覧賜りたい。そして、6月19日、沖縄では米軍関係者による20歳の女性に対する暴行殺人・死体遺棄事件に抗議する県民大会が開催される。集会には翁長雄志氏も出席する。7月5日に実施された沖縄県議会選挙では、定数48に対して、与党勢力が現有議席の23議席に4議席を上乗せして27議席を獲得して大勝した。辺野古基地建設阻止に向けて、沖縄県民の結束はさらに強化されている。日本に存在する米軍専用施設の74%が沖縄に押し付けられている。このなかで、沖縄では米軍関係者による卑劣で凶悪な事件が後を絶たない。事件のたびに、「綱紀粛正」、「再発防止」が呪文のように唱えられるだけで、実効性がまったく上がらない。それは当然の帰結だ。基地負担が軽減されず、日米地位協定が維持されているから、同じことが繰り返されるのである。辺野古に新たに基地を作る理由は皆無だ。沖縄県議会は、海兵隊の撤収を求める決議を全会一致で可決した。海兵隊が要らないということは、辺野古基地が要らないということである。7月10日の参議院選は、与野党一騎打ちの選挙になる。改めて、沖縄県民は、基地問題の是非を参院選で表明することになる。沖縄県民がどのように対応するべきかは明白である。
安倍政権はメディアを総動員して、情報統制を敷いている。日銀が白旗を揚げて、政策発動を断念し、円が急騰し、日本株が急落しても、これを日本の経済政策の失敗によることと伝えない。英国がEUから離脱することに対する懸念で株価が下がっていると説明する。
本当に日本で堕落しきっているのが日本のマスメディアだ。一部には優良なメディアが残存しているが、大半のメディアは権力の御用機関に堕してしまっている。問題は、日本の主権者が強い政治的関心を持ち、メディアの情報に惑わされない識別眼を有しているのかである。多くの人々が、政治に関心を持ち、情報操作に惑わされない冷徹な識別眼を有してはいるが、まだ、多数派には至っていないように思われる。ウルグアイの元大統領であるホセ・ムヒカさんが言うように、「政治に対する無関心、政治の放棄が、少数による支配につながってしまう」のだ。
私たちの未来は、私たちが決める! この明確な意思を持たなければ、現実を変えることは難しい。街頭で政治的なアピールをしているとき、多くの人々が無表情に通り過ぎてゆく。無表情に通り過ぎながら、実は、政治の問題を真剣に考え、自分の判断を持っている人は多く存在するだろう。しかし、政治を他人事と考えている人はいないだろうか。政治的な問題には、あまり口をさしはさまぬ方がよいと考えている人はいないだろうか。しかし、そのような政治的無関心、政治の権利放棄が、少数による支配を招いてしまうのだ。
資本主義と民主主義には、本質的に相いれない部分がある。資本主義は、最終的に、一握りの人々による経済の支配に行き着く。弱肉強食の終着点は、少数による多数の支配である。これに対して、民主主義の根本原理は、多数による支配である。1%と99%が民主主義の土俵で戦うなら、必ず99%が勝つ。しかし、現在の日本では、1%の意思が政治を支配している。1%の勢力が99%の勢力を、民主主義の下で支配するには、騙すしかないのである。99%の人々が、一人でも多く、権力を行使しないように仕向ける。99%の人々の、一人でも多くが、1%の勢力の策略にはまり、1%の勢力に都合のよい決定に手を貸すように仕向ける。彼らは、常にこのことだけを考えている。
だから、大事なことは、すべての主権者に真実を伝えることである。伝え方には多種多様な方法があるが、一番有効なのは、マスメディアを使うことだ。全国紙や全国放送を使う威力は強烈だ。現状では、1%の勢力が、このマスメディアの大半を支配下に置いてしまっている。だから、99%の側は、基本的に不利な状況に置かれている。
これを打破するには、インターネットを活用した情報伝達が重要になる。敵も当然のことながらインターネットを活用するから、インターネットは主権者の側だけのツールではないが、これを最大に活用することがまずは必要だ。しかし、選挙の期間が来れば、街頭でのアピールが非常に重要性を帯びてくる。街頭でのアピールは、基本的にフェイストゥーフェイスの情報提供だ。語り手が、いかに聴衆の心に働きかけることができるか。街頭での演説のインパクトは極めて大きい。一人の聴衆が感銘した話を誰か他の一人に伝えれば、それだけで伝播力は2倍になる。10人に伝えれば10倍になる。選挙期間を目前に控えて、人々の心を動かす、真実の情報を伝える力が、何よりも重要になっている。
沖縄では6月19日の県民大会が大きな意味を持つ。いくら安倍政権が米国の命令だけに従って動いていても、沖縄の県民が総意で安倍政権の前に立ちはだかれば、安倍政権は後退するしか道はない。県民の総意の前に安倍政権が後退する。
「この道しかない」だ。主権者が動き、政治を変える。「誰かが変えてくれる」のを待つのではなく、「自分たちで変える」のだ。参院選をその大きな第一歩にしなければならない。
※続きは6月19日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第1465号「暴走安倍政権放置の是非が問われている」で。
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