2024年12月23日( 月 )

【名門・筑女の異変】不可解な不動産取引、阿蘇の研修施設を安値で売却?(前)

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 前理事長と教職員の対立、浄土真宗本願寺派の学校でありながら「生長の家」で熱心な活動を行っていた人物が新理事長に就任。この人事に異を唱える学長が辞表を提出と、まさに混乱が混乱を呼んでいる学校法人 筑紫女学園。混乱を招いた前理事長の学校運営には、財源が悪化する国や自治体から補助金を受ける立場上、不可解に思える不動産取引が行われていた。

約4.4億円の研修施設計画

「福岡歴史の町」跡地<

「福岡歴史の町」跡地

 学校法人筑紫女学園が創立以来100年を超える歴史のなかで受け継いできたのは、「浄土真宗の教えに基づく人間教育」。建学の精神は『自律』『和平』『感恩』の三項目の校訓にまとめて表されている。残念ながら、現状は、本来の姿からかけ離れたものになっている。

 歴代理事長には、“原則として”浄土真宗の寺院の住職が就任し、水月哲英氏から続く教育方針を守ってきた。しかし今回、新理事長に就任したのは、(株)はせがわの元代表・長谷川裕一氏。長谷川氏は、「生長の家」の会員である会社経営者などで構成される産業人組織「栄える会」で会長を務めるなど、熱心な活動を行ってきた人物。この人事に、異論を唱える学内外の浄土真宗関係者は少なくはない。

 現在も続く混乱を作り出したのは前理事長の笠信暁氏。その学校運営で進められたのが、総コスト約4.4億円の研修施設計画であった。筑紫女学園が研修施設用地として2016年3月31日付(登記上)で購入したのは、テーマパーク「福岡歴史の町」(福岡市西区)の跡地である。「福岡歴史の町」は、江戸時代の町並みを再現しており、さまざまなからくりが施された忍者屋敷で遊べる「忍者村」があったことから、「忍者村」の通称で覚えられていることが多い。05年9月に閉鎖し、「骨董村」と名前を変えて陶器やインテリアの蚤の市を開いていたが、それも閉鎖。廃墟となり、心霊スポットとして紹介されるようになった。

 NetIB-NEWSが入手した関係資料によると、筑紫女学園が購入したと見られる「福岡歴史の町」跡地の面積は、3万6,140m2(1万932坪)。旧施設は残されたままで、土地代金は解体・整地費込みで2億8,500万円(坪単価2万6,069円)。これに、収入印紙代、登記費用、固定資産税精算金、仲介手数料を加えて用地購入費は約3億円となった。

 この用地購入の案が同学園の常任理事会に提出されたのは15年3月11日のこと。JA福岡が仲介するかたちで土地の所有者であった福岡市から紹介されたという。当初の案は、用地の利用法を「宿泊機能付研修所」とするも、用地購入を先行させ、具体的な内容については「引き続き検討」としていた。

 「(仮称)伊都の里Project(プロジェクト)」とされた新施設の建設計画は、建築面積1,234m2、延床面積2,772m2の2階建て。学生個室16部屋、教職個室7部屋、浴室、食堂、ラウンジ、教室、礼拝堂などが設けられる内容。また、図面では、施設外に2面つくられるグラウンド(後にテニスコートに変更)については、「福岡市との協議が必要」としている。なお、県基準に対する中学・高校の校地不足解消も取得理由に添えられた。

 新しい研修施設の用地取得と建設工事にかかる費用は、前出の土地代、建物費用1億円を合わせて総額4億3,970万円。そのうち筑紫女学園が所属する龍谷総合学園グループの学校に貸付を行う龍谷学事振興金庫から4億円を借り入れる計画であった。

(つづく)
【山下 康太】

<INFORMATION>
学校法人 筑紫女学園
代 表:長谷川 裕一
所在地:福岡県太宰府市石坂2-12-1
創 立:1907年
設 立:1945年
総資産:210億8,442万円
帰属収入:(15/3)40億2,259万円

 
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