【名門・筑女の異変】運営の混乱に関係者やOGが不安の声(後)
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浄土真宗の教えを外れた異質な運営体制
笠氏の強引な運営は、ステークホルダーである学生たちを放置しているのではないか。ある関連業者は「昔、筑紫女学園は、地元の進学塾で西南・大濠・筑女の『私立御三家』として、合格者数が喧伝されていたが、いつの間にか、筑女の名が消えてしまった」と嘆く。「同学園のステータスが下がってきているのは、100年以上にわたって守り続けてきた伝統を発信する力が弱くなってしまい、時代の変化に対応できていないからではないか。笠氏、長谷川氏と続く今の学校運営は手続きがきちんとしていないため、現場がその目的をしっかり理解できておらず、モチベーションが上がっていない」(業者)。
また、現在の常任理事会は重要なポジションである常務理事と事務局長に福岡県OBが就任し、トップの長谷川氏も寄付行為が定める「理事長は、原則として浄土真宗本願寺派福岡教区寺院の僧侶」ではない。「浄土真宗の教えに基づく人間教育」を行うには、前例のない異質な運営体制となっている。「昨年2月に設立された収益事業を行う子会社は、学校と付き合いのある損保会社から来た人間が実質的に取り仕切っている。学園が外部の人間の食い物にされているような気がして心配だ。前理事長の“置き土産”で、筑紫女学園の良き伝統が粉砕されるかもしれない。生徒たち、卒業生、保護者がかわいそうだ」と訴える。
伝統を守ることが将来につながる
卒業生らは、現在の運営体制について「大変なことになった」との認識を示す。中高に通ったという女性は「週に1回、科目である仏教の時間で浄土真宗の教えを学んでいたし、定期考査でも試験があった」と学生時代を振り返る。大人に成長する過程の最も多感な時期に「浄土真宗の教えを受けていることは強く感じていた」として、「自分が学んでいた筑女の伝統が無くなるのはさみしい」と話す。また別の卒業生も「筑女は保守的なところがダメと言われがちだけど、100年続く仏教校という点はとても大切なところだと思っているから、そこだけは崩してほしくない」と語った。
元保護者の1人は「子どもたちにとって、筑女の時間が一番大切な時間」として、「宗教的な情操のなかで毎日過ごしていたことが、じんわりと体の中に入っていた。そのことを卒業してから、あらためて感じるようだ」と話す。このため、卒業生らは学園に対して深い愛情を抱くようになるという。なかには、教員となって学園に戻ってくる卒業生もいる。元保護者は「彼女たちは内情を知り愕然としているのではないか」と心配する。
元理事の1人は、「生徒数が減少しており、将来にわたって学園を継続していくための転機にあるのは間違いない」と認める。しかし、経営ばかりを優先させて「建学の精神」をないがしろにするようであっては、「筑女ではなくなってしまう」というのが関係者の一致した意見だ。福岡教区の僧侶たちからも「筑女はどうなっているのか」と不安の声が上がっているという。親鸞聖人は本願を念じ念仏している人を「御同朋」と呼び、現在は志を同じくする友という意味に使われている。筑女が100年の伝統を守り、次の時代も続いていくためには、全員が一致団結する必要があるだろう。強引な運営を続ける理事会が「御同朋」の精神に立ち戻ることが望まれる。
(了)
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