鮮魚ビジネスの面白みと可能性(前)
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(株)古賀商店
スーパーから求められる技術力
福岡県行橋市に、『鮮魚』を使ったビジネスで急成長している企業がある。鮮魚卸販売業の(株)古賀商店は、福岡県内のスーパーマーケット内に鮮魚店を出店するほか、回転寿司店なども展開する。
同社の歴史は古く、戦後間もない昭和23年(1948年)、福岡県行橋町南本町(現・行橋市)で産声を上げた。当時は道路事情も悪いなか、福岡市長浜で水揚げされた魚をトラック一杯に積み、それを地元に持って帰って販売することで、事業基盤を形成。現在は福岡県内の大手ディスカウントストア「ルミエール」の鮮魚売り場にテナント出店するほか、福岡市中洲、宗像市、イオンモール筑紫野内で回転寿司「博多魚類」を展開している。
我々の食生活のうえで欠かせない魚。かつては肉、青果を含めて街の一角にそれぞれが店を構え、そこに人が集まることで商店街が形成されていた。だが、それから時代は変わり、スーパーマーケットがそれらを集約するようになった。その後、さらに時代は進み個人商店が街から姿を消していくなかで、グロサリー商品を取り扱うディスカウントストアが台頭。近年では肉、魚、青果、総菜をテナント入店させ、生鮮食品を取り扱ったディスカウントストアがスーパーマーケットを凌駕している。
肉や青果、総菜はテナント運営から直営化に移行する流れとなったが、鮮魚だけはそれができない。それはなぜか。それは、仕入れ、技術、管理共に難しく、経験がモノを言う職種であるからだ。とはいえ、技術や経験があっても、モノ(鮮魚)が売れなければ商売は成り立たない。倒産する鮮魚店だって、少なくはない時代である。
そのようななか、古賀商店はテナント出店する小売店の販売力を背景に急成長を遂げる。2012年9月期に売上高22億円だった同社は、15年9月期には売上高45億円まで伸ばした。3年間で売上高を2倍にした背景には、主力取引先の「ルミエール」運営の三角商事が新店舗を出店したこともあるが、県外を含め、鮮魚テナントとしての出店オファーが絶えないことがある。つまり、同社の実力を評価する小売業が多いと言っても過言ではないだろう。そんな、古賀商店の魅力に迫ってみたい。
豊富な品ぞろえでも当日売り切る
古賀商店がテナント入店するスーパーの売り場を覗いてみた。とにかく活気がある。売場担当者の威勢の良い掛け声が店内にこだまする。近年、漁獲高は激減し、旬の魚が昔のように売場に簡単に並ぶ時代ではなくなった。だが、他店では真似のできない魚種が、古賀商店の売場にはたくさん並ぶ。大量の氷の上に丸(1匹丸ごと)のまま並べられた採れたての魚には圧巻だが、価格ラベルの上に必ずと言っていいほど書かれてある一言は、同社を訪れる楽しみの1つ。「うまかばい」「出血大サービスばい!」「今日だけバイ!」といったユニークな文言が、売場で踊る。来店客らは、次々に商品をカゴのなかに入れていき、閉店間際となると売場はほぼ完売状態。売り切る力も見事だが、店内の調理場をはじめ、活気のある売場の雰囲気も良い。
これは、同社社長の古賀善敏氏ほかバイヤーが、国内外問わず、漁港を足しげく回り、商品の調達ルートを確保することで、大手スーパーの鮮魚売り場に負けない売場づくりを可能にしている。「美味しい海の幸を安全、かつ安定した価格でお客様の食卓に提供致します」というキャッチフレーズの下、驚くほどの低価格での販売を実現。このような売場づくりができるのは、まさに企業努力の賜物であると言える。
(つづく)
<COMPANY INFORMATION>
代 表:古賀 善敏
所在地:福岡県行橋市宮市町5-24 ハイライフサクセス1F
設 立:1986年3月
資本金:1,000万円
TEL:0930-22-0303
URL:http://kogasyoutenn.co.jp
※採用希望の方はお気軽にご連絡ください。<プロフィール>
古賀 善敏
1964年9月、福岡県生まれ。福岡県立行橋高等学校卒。大手DS鮮魚部を経て、父親の経営する古賀商店の跡を継ぐ。代表就任後の14年夏、福岡市中洲にネタの大きい回転寿司店「博多魚類」をオープンさせた。16年1月、業務用鮮魚卸販売事業を新たにスタート法人名
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