企業姿勢がブランドをかたちづくる(後)
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泰平建設(株)
傾斜・データ偽装問題では迅速な情報公開で心配を払拭
15年10月、マンション業界を揺るがす大問題が発生した。三井不動産レジデンシャルが06年に販売した横浜市の大型マンションで傾きが見つかり、杭打ち工事での打ち込みが足りない8本の杭が発見された。しかも、施工業者の旭化成建材によってデータが偽装された杭が多数あり、その数は全国3,000棟にもおよんだのである。
同社ではこのニュースを耳にすると、迅速に対応した。伊藤社長は物件ごとの杭打ち工事の概要と使用した杭の種別、メーカーなどについて、全入居者に対し説明するように施工部門に命じたのである。
「弊社はマンションの構造体について、ギャラリーを訪れたお客さまには模型を使って『断面がどうなっているのか』などもきちんと説明しています。横浜の事例についても、弊社が使っているものと工法が違った部分なども説明しています。手を打たずにいれば、かえってお客さまを心配させることになるので、施工担当者には情報をすぐに公開するように指示しました。おかげさまでお客さまには理解していただき、安心していただきました」(伊藤社長)。
三井不動産レジデンシャルは、傾斜マンションの建替えを決定した。それは潤沢な資金があるからこそできることだが、マンションにおける安心・安全という信用を失墜させたダメージは計り知れない。まして一度墜ちたブランド力を復活させるのはそう簡単ではないだろう。
同社は企画・設計・建設・施工・管理・販売まですべてを自社グループで行い、竣工検査も他社任せだけでなく社内でも行う。奇しくもマンション傾斜、データ偽装問題は、「給排水とか、構造体とか、人の目に見えないところまで自社で施工管理しているので、お客さまに安心して買っていただける」という同社の企業姿勢をクローズアップした。
決して手を抜かず、愚直なまでに誠実さを持って事業に取り組むことが同社のブランド価値そのものと言える。
(了)
<COMPANY INFORMATION>
代 表:伊藤 俊樹
所在地:北九州市小倉北区片野4-20-3 泰平ビル3F
設 立:1969年5月
資本金:5,900万円
TEL:093-931-6626
URL:http://www.web-taihei.co.jp<プロフィール>
伊藤 俊樹
1947年12月、北九州市小倉南区生まれ。70年、泰平建設(株)に入社。80年、代表取締役に就任。趣味はゴルフ、釣り。関連キーワード
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