2024年11月26日( 火 )

再び注目を集めている石炭火力発電(前)

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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)

 石炭は、数億年前に生息していた植物が地中に埋もれ、長い年月の間に炭化してできたエネルギー源である。石炭はこれまでエネルギー源として人類の発展に多大な貢献をしてきたし、今でも一時期ほどではないが、 石炭は発電や製鉄業などの産業分野で活躍を続けている。
 ところが、石炭に比べて発熱効率が高く、運搬もしやすい石油が登場したことで、石炭の利用は減少し始めた。1980年代以降は石油のシェアが高くなり、石炭はだんだん陰が薄くなっていった。

entotu 石炭はイギリスでの産業革命後、蒸気機関の燃料として、それから化学工業製品の原料として、重要な役割を果たしていた。それだけでなく、家庭での炊事や暖房にも、石炭は重宝されていた。石炭は“黒いダイヤモンド”とも呼ばれるほど、一時期は燃料の王者の座を占めていた。
 石炭は石油や天然ガスに比べて、埋蔵量が多く、世界にあまねく分布しているエネルギー源でもある。石油などは枯渇の恐れがあるが、石炭の可採年数は120年と言われ、まだ十分な量が採掘可能であることも魅力であった。

 それに、石炭の一番のメリットは、価格が安いことである。石油に比べると、価格は3分1しかならないので、コストを考慮すると、どうしても石炭という選択になる。そのため、今でも開発途上国では石炭火力発電が多く、多量の二酸化炭素を排出しているのが現実である。先進国でも、石炭は火力発電と製鉄の分野で、いまだ活躍している。ちなみに、火力発電に使用されている石炭は一般炭で、製鉄の分野で利用される石炭は原料炭である。

 それでは、石炭の問題点は何だろうか――。今、世界は地球環境を守ることを最優先にしている。すなわち地球温暖化問題で、二酸化炭素の排出をどのように抑制できるかを課題としている。

 ところが石炭の短所は、石油や天然ガスなどの化石燃料に比べ、二酸化炭素の排出量が多く、環境に負荷をかけるという点である。石炭は天然ガスに比べて、20%くらい二酸化炭素を多く発生させているようだ。今では石炭というと、公害の象徴のように思われていて、韓国でも炭鉱は閉鎖され、炭鉱を見かけることはほぼなくなっている。

 世界各国は環境問題に対応するため、化石燃料から太陽光発電など再生可能エネルギーへのシフトと、原子力の利用を増やそうとしている。ところが、原子力は東日本大震災が発生したことにより、放射能の危険性が再認識され、推進するのが容易ではなくなった。

(つづく)

 
(後)

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