クックパッドを追われた前社長が、不動産サイト「オウチーノ」を買収(後)
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クックパッドの時価総額を7倍以上に拡大した手腕家
オウチーノを買収する穐田誉輝氏(47)は、青山学院大学経済学部卒。ベンチャーキャピタル大手の(株)日本合同ファイナンス(現・(株)ジャフコ)を経て独立。ベンチャーキャピタリストとして、価格比較サイト価格.comを運営する(株)カカムコムに出資。東証1部上場を果した。07年、クックパッドに出資。上場を指南して09年、クックパッドは東証マザーズに上場(11年、東証1部に指定替え)。穐田氏は14.78%を出資する2位の大株主だ。
創業者の佐野陽光氏(42)は12年3月、穐田氏を後継社長に指名し、料理レシピサイトを米国に広げるため渡米。穐田氏は時価総額経営を進めた。
投資家である穐田氏は、レシピサイトに対する思い入れはなかった。「Facebookの料理投稿で充分とか、YouTubeの料理動画で良いじゃんとなれば、(クックパッドは)それでお終いです」(ダイヤモンドオンライン15年9月25日付の対談での発言)として事業の多角化を進めた。13年4月期単独決算の売上高49億円が、決算期を変更した15年12月期の連結売上高147億円まで急拡大し、時価総額は7倍以上になった。しかしその一方で、レシピと関係ない投資を加速させた穐田氏に、佐野氏の怒りが爆発。3月の定時株主総会後の取締役会で、佐野氏は穐田氏を社長から解任した。
明暗を分けたオウチーノとクックパッドの株価
穐田氏はクックパッドの保有株を売却して、その資金で、オウチーノを買収することにした。穐田氏がクックパッドで振るった経営手腕は高く評価されている。穐田氏による経営改革による業績改善への期待から、オウチーノ株が買われたのだ。
だが、不動産はアナログの世界だ。実際の取引は信頼関係に築かれた人間同士でしか成立しない。ネットで利便性を高めれば、ユーザーが爆発的に増える性質のものではない。ネットとはかけ離れた不動産ビジネスで、どんな新機軸を打ち出すか。そこが注目点となる。これに対して、対照的な株価の動きになっているのはクックパッド。11月7日の株価は一時、992円と1,000円を割った。料理レシピ情報サイトが大当たりして、ネットベンチャーともてはやされていた当時、クックパッドの株価は2,880円(15年8月17日)と上場以来の最高値をつけた。お家騒動が祟り、株価は3分の1に下落した。手腕家の穐田氏を追い出した創業者の佐野氏は、投資家から見放された格好だ。
(了)
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