『孤児ビジネス』でカンボジアの孤児の自立支援へ(前)
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カンボジア国内NGOサクラ職業訓練校 理事・整体師
西村 繕久仁 氏成長著しいカンボジアで、視覚障害者による整体師育成スクール「カンボジア国内NGOサクラ職業訓練校」と、「SAKURA Hearing Hands Massage」を2店舗手がける西村繕久仁氏。西村氏はこのほど、孤児院とリゾートを融合させた施設「ボランティアリゾート」を立ち上げた。ボランティアなどの寄付に頼らない“孤児ビジネス”を展開することのことだ。
いずれは孤児たちに施設を譲りたい
「“孤児ビジネス”と言えば、孤児を使って金儲けを企んでいると思われるかもしれませんが、意味はまったく違います。かといって、ボランティアで孤児院を運営しているわけではありません。我々は、寄付に頼らず事業を運営していきたい。今、私が考えているのは、孤児院とリゾートを融合させた施設。そして孤児たちが大人になり、この施設を運営できるよう、会社組織にしたいと思っています」と、西村繕久仁氏は語る。
「ボランティアリゾート」は、日本のリタイア世代のためのリゾートホテルで、コテージ型の宿泊施設での1カ月の滞在費とすべての食事費を1人なら10万円、2人なら15万円で提供し、一般的な年金の範囲で参加できるようにしている。「仮に10組の方がホテルに住まれれば、リゾートは月収100万円以上の収入があります。これはカンボジアでは余りある収入となります。これがボランティアに頼らない施設運営のための原資となり、将来の資本蓄積につながる。お金が余れば奨学金として給付していきたいと考えています」。
西村氏がつくりたいのは、社会貢献を行うための株式会社だ。NPO法人では子どもたちに譲ることはできないが、株式会社なら譲ることが可能である。利益を生み出すことで、施設運営は永続化できる。孤児たちの自立支援と、将来の雇用の場を創出するという意味では、今までにはない新しいかたちの施設となる。
西村氏は福岡高校、九州大学理学部を卒業後、福岡県の高校の生物教師となった。25年間教鞭に携わった後、50歳で退職。その後、自身が福岡県内に保有する不動産を有効活用することで、カンボジアでの孤児院の施設運営を支える土台を作った。日本で得た不動産賃貸収入で安定した運転資金を確保し、かつ、現地で滞在される方々の滞在費も加えることで、寄付に頼らずに事業運営ができるとしている。
西村氏はこの計画に、数千万円の私財を投じた。なぜカンボジアのために、そこまで身を投じることができるのか―。それに対し西村氏は、「精神的にプラスとなるから」と即答する。西村氏自身、多趣味で、最も好きなのがツーリングである。カンボジアの海岸線を単車で走り抜けることに生きがいを感じるという。「人は音楽や映画などの趣味に対してお金を投じます。それと同じような感覚で、カンボジアでお金を使うことは趣味に使っていると同じ感覚ですね」と語ってくれた。
(つづく)
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西村 繕久仁(にしむら・よしくに)
1957年糟屋郡粕屋町生まれ。
香住ヶ丘高校、修猷館高校、筑紫丘高校などで25年間教育に携わった。在職中に教員の国内留学制度を活用し、長崎大学大学院環境科学研究科にて2年間学ぶ。50歳のときに教師を辞め、現在に至る。関連記事
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