獅子身中の虫~(福)平成会を舞台に暗躍するズル師は誰か(後)
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「私はお金を受け取っていません。私の個人口座のキャッシュカードをコンサルさんに持っていかれています。今も返してもらえていません」
つまり、明言は避けているが、A氏が執行理事のキャッシュカードを持っていて、その口座を使ってお金を出し入れしているだけであって、執行理事はお金をもらったわけではない、との言い分なのである。ちなみに、A氏と執行理事の間には血縁関係もなければ、10年来の親友というわけでもない。普通に考えれば、個人のキャッシュカードを他人に渡すことなどありえない。なぜ、そのようなことをしたのか、強奪されたのか、執行理事に対して質問を重ねた。その答えは「どうしてもといわれたので渡した」だけだった。
もし他人が自分のキャッシュカードを持っていたら、何に使われているのか不安で仕方ないだろう。関係性が悪化した後ならば、なおさらである。なぜ他人にキャッシュカードを預けたのか。そこに疑問が発生する。この点をA氏に再取材したところ、憤慨した様子で「キャッシュカードなど持っているはずがありません。そんな言い逃れで私に罪をなすりつけようとしているのでしょうか。他人のキャッシュカードを使ってお金を出し入れする必要などありませんし、そもそも、私が執行理事のキャッシュカードを持っているのならば、警察沙汰になるはずですし、執行理事が私に預けたとする銀行口座の履歴を捜査すれば明らかなことです」と語った。
取材で判明した振込先は1つの口座ではない。複数の金融機関の、執行理事名義の口座にお金を振り込んでいるのである。それらすべての口座のキャッシュカードをA氏が持っているとは考えにくい。お金はA氏から執行理事の口座に振り込まれているのは振り込み票を確認する限り間違いない。A氏は次のように続けた。
「つまり私がお金を持って逃げ回っていると言いたいのでしょうか。常識的に考えて、他人に自分のキャッシュカードを渡すことなどあるはずがない。私は早い段階から理事長の奥様にこの不透明なお金の流れを訴えてきました。平成会のなかでは執行理事が本件のほとんどのプロジェクトを任されているため、理事長たちは執行理事からの話しか聞いていないでしょう。理事長たちはキャッシュカードを私が持っていっていると説明されたとして、それを信じているのでしょうか」
現在、A氏は警察への相談を開始した。一方で、平成会側はA氏に対してコンサルタント報酬の返還を求めて訴訟を起こしている。A氏は執行理事に渡した金銭の返却がない限り、平成会に対してコンサルタントフ報酬の返却には応じない構えだ。また、A氏はコンサルタント業務をまったくやっていなかったわけではなく、「業務させてもらえなかった」ということもあり、争う姿勢を見せている。
平成会は社会福祉法人。社会福祉法人は税制の優遇をはじめ、助成金や補助金を受けるなどしている、社会のための公益法人だ。その平成会のなかに、新規事業に絡んで自らの懐を暖めている獅子身中の虫がいるとしたら悪辣非道としか言いようがない。
(了)
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