さとうベネック倒産劇を振り返る 悪者は誰だったのか
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2012年9月に経営破綻した(株)さとうベネックの元社長に、3億2,000万円の賠償命令の判決が出たことは既報の通りだ。ここで改めて同社の倒産劇を振り返ってみる。
2006年8月に金融機関に債務免除を要請するまで追い込まれた旧・さとうベネックは、整理回収機構(RCC)を調整役にスポンサーを探し、07年1月に選ばれたのが投資ファンドのネクスト・キャピタル・パートナーズ(株)(以下、NCP)だ。
NCP傘下で再建を進めたさとうベネックは、11年6月期には売上高103億円、経常利益2億円、実質無借金で現預金20億円を保有するまでになった。財務体質が改善しキャッシュフローも良くなったことでNCPは売り先を探し、12年1月にダイセンビルデイング(株)に売却した。
ダイセン社の買収スキームは、LBO(買収企業を担保にした資金調達スキーム)だったと言われている。SBIキャピタルソリューションズ(現・アドミラルキャピタル)が、さとうベネックを担保に13億円をダイセン側(ダイセンBDおよびHD)に貸付け、ダイセン側はNCPから株式を買い取る。この取引によりNCPは8億円の売却益を得たと言われる。
LBOは買収スキームとしては珍しくもないが、問題となるのは買収先の企業を食い物にしたようにしか見えないところだ。ダイセン側は買収の返済資金をさとうベネックに求め、買収からわずか8か月後に経営破綻した。NCPもSBIキャピタルもダイセン社も、さとうベネックが存続するかどうかなど興味がなく、資金を奪い合ったようにしか思えない。九州の名門ゼネコンの末路は、後味の悪い、あまりにも悲しい幕切れだった。
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