書類審査以外もデタラメ!福岡市屋台担当課長の「暴行事件」の顛末
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書類審査における委員による情報漏えいが問題となった福岡市の屋台公募。審査基準や審査過程を行き過ぎと思えるほどに不透明にし、それが不正につながったといえる。屋台営業者の生活がかかった重要な選考を、ペーパーテスト(3分の2が落選)と面接で済ませた適当さ加減には呆れるばかりだが、それ以前に、公募内容からデタラメであったことが取材のなかで見えてきた。それを象徴するのが、今回の公募の担当課長の口から発せられた「暴行事件」である。
「理由不明」募集エリアから外された営業場所
目撃者をはじめ、複数の関係者の証言を総合すると「暴行事件」の内容は以下の通りとなる。
「暴行事件」が起きたのは10月5日。屋台公募の応募締め切りは同月31日。つまり、問題になっている書類審査の結果が出る前の話。公募の内容について疑問を持った赤坂地区の屋台営業者が、経済観光文化局国際経済・コンテンツ部にぎわい振興課を訪れた。疑問とは、自分が屋台営業をしている場所が、今回の募集エリアから外れていることについてである。
今回の屋台公募では、天神地区周辺の商業エリア、中洲・長浜の観光スポットエリアの2つに分けて、募集・選定を行い、成績順に場所を選べることになっていた。ところが、営業中の屋台が実在する祇園地区と赤坂地区は、どちらにも入っていない。添付した表は、情報公開請求によって開示された選定委員会の資料(クリックで拡大)。丸で囲まれた数字が募集箇所の数。祇園地区と赤坂地区については数の表示がなく、募集箇所に含まれていないことがわかる。
とくに赤坂地区では、営業中の屋台2軒はどちらも「名義貸し」。福岡市屋台基本条例(以下、屋台条例)によって「名義貸し」の屋台は今年3月末で許可取り消しとなる。つまり、“赤坂から屋台が消える”ということが、審査に関係なく、募集の段階で突然に決まっていたのだ。なぜ、今の場所で営業を続けることができないのか。3年間、その場所で営業している屋台営業者にしてみれば、当然の疑問である。
男性課長が女性に襟を掴まれてケガ?
市役所を訪れたのは、赤坂地区で屋台「てるちゃん」を経営する女将の青木絵里奈さん。当初、青木さんは、地元自治会の会長とともに道路上の屋台の場所を管理する路政課を訪れた。赤坂地区の営業場所については、道幅の条件、地元の同意といった条件をクリアしている。だからこそ、屋台基本条例施行後も営業を続けてきたのだが、路政課は「公募の内容(場所)については、にぎわい振興課が決めた」とのこと。そこで日をあらためて10月5日、にぎわい振興課を訪れた。対応したのが同課・三笘和弘課長だった。
「募集場所については選定委員会が決めた」という三笘課長。青木さんが、場所が外れることを移動の可能性がある4月の半年前に告げた理由を尋ねると「言う必要がない」などと答えたという。説明を拒否した形だ。さらに、青木さんが持参した、存続を願う常連客の署名について、「(署名は)見る必要がない」「(それだけ支持されているなら、屋台ではなく)店舗をやったらいいじゃないか」と突き放した。
この三笘課長の一連の応対に憤りを感じた青木さん。立ち上がり、三笘課長の襟に手をかけた。すぐに同行者が青木さんを制止し、三笘課長は「暴力を振るわれた。警察を呼べ!」などと周囲に呼びかけた。結局、市の職員にもその呼びかけに応じる者はなく、また席について話し合いが再開したという。ところが翌日、市から警察に被害届けが出されていた。「後日、起訴状が届き、驚きました。しかし、手を出したことは事実です。(屋台公募の審査前で)ほかの屋台の方に迷惑をかけてはいけないと思い、罪(公務執行妨害と傷害)を認めて略式起訴で罰金(15万円)を支払いました」と、青木さんは語る。
「市=被害者」を思わせる悪質な印象操作
選定委員による情報漏えいといった不正問題が大きくクローズアップされているが、青木さんと三笘課長のトラブルは、書類審査が行われる前の話である。ところが、三笘課長は、屋台公募の不正問題がマスコミで大きく取り上げられるなか、この話を蒸し返した。福岡市のニュースサイト「HUNTER」の記者に対して、「暴行事件が起きていますから」「自分がケガをした話ですか」などと話しており、その内容については取材を拒否している。(詳細はコチラ)。
今回、「暴行事件」について、電話で事実確認を行ったが、「(市役所に)来ていただかないと話せない」と三笘課長。「暴行事件の事実がなければ、『ない』という答えを聞くためだけに、わざわざ市役所に行かなければならないのか」と問い詰めると、「上司と相談のうえ、回答する」という。他のメディアの記者に自ら口にしておきながら、NetIB-NEWSの記者には教えないということなのか。「媒体によって、教えるかどうかを相談して決めるのか」という質問には、「そんなことはありません」と否定したが、やっていることは同じだ。
悪質なのは、青木さんとの一件を、「市=被害者」という印象を与えるために利用しようとした節があることだ。市は、暴行事件の存在をほのめかすが詳細については語らない。「暴行事件」の四文字がひとり歩きすれば、「書類審査の結果に不満を持った屋台営業者が暴力をふるった」という誤解にもつながりかねない。三笘課長は、選定委員の不正問題について「裏切られた」などとテレビの取材に応えている。「今回の公募がマスコミで取り沙汰されるようになってから、『前に暴行事件があった』と言い出した課長と市は恥知らず。求められる説明に応じず、権力を盾にした傲慢な態度をとり続けていることに、多くの屋台が怒りを覚えている」(屋台関係者)。当事者でありながら、“被害者”ぶる三笘課長の態度に怒りを隠さない屋台関係者は少なくはない。
【山下 康太】
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