AI時代の成長投資を中小企業にも GPUサーバー事業と経営強化税制の活用|Sales Rep、アンツコンサルティング

 生成AIの普及により、AI開発や画像・動画処理を支えるGPUサーバーへの需要が急速に高まっている。一方で、GPUサーバーは高額で、専門的な運用環境も必要となるため、中小企業にとっては参入しにくい分野でもあった。こうしたなか、(株)Sales Repは、GPUサーバーの購入、中小企業経営強化税制の活用、データセンター運用、計算力販売を組み合わせた法人向けGPUサーバーを活用した新規事業を提案している。中小企業は、決算対策とAIインフラへの成長投資をどのように両立できるのか。同社執行役員GPUセールスマネージャーの山内凌氏に聞いた。
※図はすべてSales Rep社資料より。

AI時代に不可欠なGPUサーバー

 ──GPUサーバーを活用した新規事業とは、どのようなものか教えてください。

 山内凌氏(以下、山内) 簡単にいえば、企業にGPUサーバーを購入していただき、そのサーバーをデータセンターで運用して、AI開発や動画処理、Webサービス開発などを行う企業に計算力として使ってもらう仕組みです。その使用料が、サーバー購入者に還元されます。

 販売元は(株)イオレまたはデジタルダイナミック(株)で、当社Sales Repは販売代理店として関わっています。購入されたサーバーは、ソフトバンクのデータセンターに設置され、デジタルダイナミックが管理・運用します。購入者が自らサーバーを設置したり、保守したり、利用企業を探したりする必要はありません。

 データセンターやサーバーは、動画配信、メッセージアプリ、乗換案内、タクシー配車、天気予報といった日常的なサービスを支える基盤です。そのなかでもGPUサーバーは、大量の計算処理を並列に行うことに強みをもち、生成AIや画像・動画処理、解析などで重要性を増しています。

 生成AIの普及により、そうした計算資源への需要は一段と高まっています。今後はさらにAI開発、動画処理、解析、Webサービス開発など、用途が広がっていくと見られています。

 ──GPUサーバーによる新規事業を、なぜ中小企業に提案するのでしょうか。

 山内 背景には、AIやデータセンターを国内に整備していく政策的な流れがあります。現在、日本の重要な情報資産の多くは、米国を中心に海外のデータセンターに依存しています。現在の日米関係を前提にすれば、ただちに問題が起きるわけではありませんが、有事やサイバー攻撃、海外データセンターの障害などが起きた場合、日本の重要データやインフラが影響を受ける可能性はあります。アメリカのデータセンター数は5,000、それに対して日本は200ほどでまだまだ足りません。国内で情報資産を管理する体制づくりが重要になっています。

 ただ、データセンターを1つつくるには数百億円という規模の資金が必要です。そこで、データセンターという「箱」のなかで動くGPUサーバーを多くの企業に購入してもらい、その計算力を利用企業に提供することで、データセンター事業を支えながら購入企業は事業収益を得ることができるという事業モデルです。

図1

中小企業の資金を成長投資へ

 ──なぜ中小企業を主な対象としているのですか。

 山内 日本企業の大部分は中小企業です。中小企業には、利益を内部留保として貯め込んでいる会社も多くあります。一方で、決算対策や成長投資の選択肢が限られているため、余剰資金を利用しにくい面があります。そこで、中小企業経営強化税制を活用し、税制メリットを得ながら、AIインフラやデータセンターという成長分野に資金を動かしてもらう。これが今回の商品設計の考え方です。

 大きなポイントは、対象となるGPUサーバーを購入した場合、中小企業経営強化税制の活用により、即時償却を想定できる点です。たとえば、不動産の売却益が出た、建設プロジェクトが完了して大きな利益が出た、そうした企業では税負担をどうするかという課題が出てきます。税込3,300万円の商品を購入した場合、制度要件を満たすことで、購入金額を初年度に即時償却することを想定しています。
 利益をGPUサーバーという成長分野の設備投資に回すことで、決算対策とともに、国内のAIインフラ整備にもつながる商品です。

 ただし、これは税制である以上、制度適用には個別の確認が必要です。経営力向上計画の認定や、税理士など専門家との確認も必要になります。すべての企業で自動的に適用できるというものではありません。通常の法人や個人事業主であれば検討対象になり得ますが、一部の法人形態や、事業との紐付けが難しいケースでは適用が難しい場合もあります。そこは個別に確認してもらう必要があります。

3年間で収益化を図る新規事業収益モデル

 ──収益モデルについて教えてください。

 山内 まず前提として、これは金融商品ではありません。オペレーティングリースのように、固定の利回りや元本保証があるものではなく、あくまでデータセンター事業への新規参入であり、GPUサーバーの計算力を使ってもらうことで事業収益を得るモデルです。

 商品価格は税込3,300万円で、毎月購入額の3%、つまり99万円を上限として、使用料が購入者に還元される設計です。これを3年間、36カ月続けると3,564万円になります。さらに、3年後のサーバー売却益を396万円と見込み、合計で3,960万円、投資額に対して120%相当の事業収益を想定したシミュレーションとなっています。

 ただし、これは保証ではありません。GPUの計算力を利用する企業からの使用料が収益の原資になるため、収益は市場環境や稼働状況によって変動します。

 3年後には、サーバーを中古市場で売却する設計です。税込3,300万円の商品であれば、3年後の売却益を396万円と見込みます。これは取得額の12%にあたります。ただし、3,300万円のすべてがサーバー本体価格ではありません。おおよそ純粋なサーバー本体価格は約1,500万円で、残りには3年間のデータセンター利用料などが含まれています。売却益396万円は、サーバー本体価格に対して約30%弱程度で見ている数字です。一般的な中古市場では、3年落ちの製品でも新品価格の60〜70%程度で取引されるケースがありますので、かなり保守的に30%弱程度で見ています。

 ──なぜ3年間での運用なのでしょうか。

 山内 運用期間が長いこと自体がリスクになるため、比較的短期間で投資回収を図る設計にしています。GPUの世界は技術革新が早いです。AIの次に量子コンピューターが来るのではないかとも言われています。NVIDIAの需要が3年でひっくり返るとは考えにくいですが、10年先まで安心だとは言い切れません。そこで、AIやGPU需要の見通しを比較的立てやすい3年という期間で設計しています。

 今回の商品ではNVIDIA製GPUを取り扱います。同社GPUはAI開発の現場で事実上の標準になっており、エンジニアは同社GPUを使う前提で開発環境を整えています。また、同社GPUは、需要に対して供給が追いついていません。AIが高度化すればするほどGPUは必要になりますが、供給がすぐに追いつくわけではないため、3年落ちの製品でも一定の需要があると見ています。サーバーの陳腐化リスクや中古売却時の流動性を考えても、NVIDIA製GPUを採用することが重要だと考えています。

図3

図4

データセンター運用と利用先の確保

 ──購入されたサーバーは、どこで運用されるのでしょうか。

 山内 ソフトバンクのデータセンターで運用します。拠点は、東京・府中または奈良・生駒の2拠点です。サーバーはデータセンターに設置し、デジタルダイナミックが運用・管理します。購入者が自分でサーバーを運用する必要はありません。

 ──GPU計算力は、どのような利用者に提供されるのでしょうか。

 山内 国内では、クラウド型とベアメタル型があります。クラウド型は、利用者が必要なときに必要な分だけ、時間単位でGPU計算資源を使う方式です。ベアメタル型は、特定の企業と1対1で契約し、サーバーを専有的に使ってもらう方式です。

 国内のクラウド型マーケットプレイスを展開している企業や、海外のマーケットプレイスサービスを提供しているサービスと連携しています。ベアメタル型では、AIを活用したアプリケーション開発を行う企業で活用されている事例などが紹介されています。

 こうした国内外の利用経路を確保することで、GPUサーバーの稼働率を高め、購入者への収益還元につなげていく考えです。

導入スケジュール 制度期限は27年3月末

 ──導入にはどの程度の時間がかかるのでしょうか。

 山内 目安としては、決算日から逆算して45日前程度であれば対応可能です。オペレーティングリースのように、半年前から申し込まなければならない商品ではありません。突発的に利益が出た、期末近くに大きな利益がみえてきたという企業にも対応しやすいです。

 ただし、制度を活用するためには経営力向上計画の認定などが必要になります。そこは個別に確認しながら進めます。

 中小企業経営強化税制は、現時点では2027年3月31日までの制度になっています。過去にも延長されてきた制度なので、今後さらに延長される可能性はあると見ていますが、これは国の税制改正次第であり、現時点では分かりません。

図5

福岡での展開を支えるアライアンスパートナー

 Sales Repの福岡・九州エリアにおける市場開拓パートナーとして展開を支援するのが、(株)アンツコンサルティングの代表取締役・玉井省吾氏だ。玉井氏は、福岡シティ銀行、外資系生命保険会社、コンサルティング会社などで、長年にわたり中小企業経営者の支援に携わってきた。玉井氏は、Sales RepのGPUサーバー投資商品に関心をもち支援を始めた理由について、次のように語る。

 玉井省吾氏 私は銀行員として、また保険会社やコンサルティング会社の立場から、35年ほど中小企業経営者や事業主の方々と関わってきました。最近ではコロナ禍のときに、経営が厳しくなり保険を解約して運転資金を確保することで、何とか会社をつないだケースを数多く見てきました。中小企業にとっては、将来何が起きるか分からないなかで、資金をどう残し、どう活用するかは非常に重要です。

 しかし現在は、かつてのように税務上有効な対策、手段が限られています。そうしたなかで、Sales RepのGPUサーバー投資の話を聞き、これは中小企業にとって新しい選択肢になると感じました。データセンターに投資するという成長投資の側面があり、同時に中小企業経営強化税制を活用して企業の収益を将来に残していく手段にもなり得ます。

 3年後、5年後、10年後に何があるかは分かりません。だからこそ、中小企業が継続的に安定した経営をしていくための選択肢をもつことが大切です。私はとくに九州の地場企業に、このような選択肢を紹介していきたいと考えています。金融機関、税理士法人、コンサルティング会社などと連携しながら、有益な提案につなげていきたいと考えています。

【寺村朋輝】

左:山内凌氏、右:玉井省吾氏
左:山内凌氏、右:玉井省吾氏

<プロフィール>
山内凌
(やまうち・りょう)
(株)マクニカにてNVIDIA製GPUを中心としたAIインフラ領域を担当。国内エンタープライズおよびAIスタートアップに対し、GPUサーバー導入から構成設計・スケーラブルなインフラ提案まで従事。その後、技術商材専門の営業支援会社・(株)アットアイディールを創業。GPUサーバー・AIインフラ・データセンター領域における営業戦略設計からパートナー開拓・実行支援まで一気通貫で提供している。

玉井省吾(たまい・しょうご)
(株)アンツコンサルティング代表取締役、NPO法人社会基盤技術支援協会・副理事長
1988年長崎大学経済学部卒、地方銀行、外資系保険会社、コンサルティング会社の役員を経て2018年創業、現在に至る。


<COMPANY INFORMATION>
(株)Sales Rep

代 表:花島晋平
本 店:沖縄県名護市宮里1-28-8 南西ビル2階
    (経済金融活性化特別地区)
東京オフィス:東京都文京区本郷4-16-6
       天翔オフィス後楽園2階
設立年:2024年12月
資本金:2,103万円

<連絡先>
Sales  Rep's  アライアンスパートナー
(株)アンツコンサルティング

所在地 :福岡市中央区今泉2-1-32-102
電話番号:092-713-7470
     090-4484-9851(玉井)
Mail:tamai@ants-group.co.jp

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