九州建設M&A緊急記者座談会~そこに「事業魂」はあるか(後)
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九州屈指のゼネコン九州建設(株)のM&Aは、週末の福岡ビジネス界を震撼させた。いち早く情報をつかんだデータ・マックス取材記者陣は、この知らせをどう受け取ったのか。また、かつて福岡銀行の全面的なテコ入れが必要なまでに落ち込み、そこから見事な復帰を見せた同社が、なぜ今M&Aの選択をしたのか。記者による座談会で読み解く。
「事業者魂」なくして企業は生き残れない
B 福銀から山内征史氏が入ってきて切り回し、「福銀建設」と揶揄された時期がありましたね。福銀が融資している企業の仕事を優先的に九州建設に回して、強力に支援をした。長光氏は、この段階から自分で経営しているという実感はもうなかったのではないでしょうか。そこから会社を自分たちの側に取り戻してやっていくまでの気力はなかったのでは。最盛期は、売上160億円はありましたから、(株)北洋建設や(株)旭工務店、(株)サンコービルドよりも規模は大きかった。
A 圧倒的な差をつけていた。
B でも銀行がテコ入れに入ると、当然縮小均衡策で財務内容を良くしようとする。こうなると会社の規模も小さくなります。その状態から、地場のゼネコンとの過酷な競争に再び挑もうという気持ちも、長光氏にはもうなかったのかもしれません。それなら、会社を手放してしまおうという選択も理解できますね。
A 一族サイドは、そういう認識だろうと思うよ。買収金額はおよそ32億円というところ。これだけの現金を手にできるとなると、会社を売るのも無理のないところか。やはり、最後に会社の行く末を決めるのは、経営者の「事業魂」だ。会社が存続するかどうかは、リスクを背負ってどう経営上の選択をしていくか、その魂の差だと思う。この差は埋めることはできないよ。代を重ねると自分の会社だという意識が希薄になるんだろうね。本末転倒の判断をするよ。
D 事業承継が難しいとはよく言われますが、この意識の違いも大きな要因ですね。団塊世代が立ち上げた会社も、そろそろ事業承継を考えるタイミングです。そこで目立つのが、2代目があっさり事業を手放すケースが多いこと。創業者よりも経営能力は高いだろう、と思える2代目でも、パパッと利害を計算して会社を売ってしまうことがありますね。
A 他社を買おうとしている会社でも、自社を買いたいという話を持ち掛けられると条件次第で乗ってしまうことがある。経営者としての能力は、必ずしも効率的な経営をできるかどうかだけではなく、石にかじりついてでも事業をやり遂げるという魂があるかどうかじゃないかな。
(了)
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