凋落する有力通販~悠香(4)
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(株)悠香
茶成分配合の石けん「茶のしずく」のヒットで売上高300億円を超える有力通販企業に成長した(株)悠香。しかし、同製品を使用してアレルギー発症が多発したことにより、自主回収や集団訴訟に発展した。今年2月には、グループ企業の(株)Xenaが販売するビタミン含有石けんの表示が、景品表示法違反にあたるとして、措置命令を受けている。こうした状況から、業績に影響がおよんでいるが、急成長から急落となる九州の有力通販企業は珍しくない。これまでの同社の足跡を辿った。
成長しているときこそ求められるコンプライアンス
措置命令も急成長ゆえの凋落というべきか、九州の通販企業にはこうした企業が少なくない。その要因は、20年前の通販市場と今では参入企業が倍近くに増えており、競争が激化したことによる。
とくに単品リピート販売で急激に売上を伸ばした企業があれば、それを成功モデルに類似商品や同様の広告表示が数多く出稿されるなど、価格・訴求競争によるシェア争いは激しくなる。広告費を確保するために品質コストを下げた商品を販売したことで体感の効果が低くなったり、表示違反や販売方法などによる行政処分によって顧客離れを起こすなど、かつては市場をリードしていた通販企業が業績低迷を続けているケースは多い。九州の通販企業にはとくに多く、前述のヴァーナルは、ヒアルロン酸健康食品「皇潤」を最盛期で売上高260億円まで伸ばしたが、現在は100億円台まで減少。現在は韓国・LGの傘下となっている(株)エバーライフ、かつて売上高400億円を超えていた(株)やずやも06年の景表法違反を境に減少、近年は売上高260億円台を推移している。また、最近ではコカ・コーラウエストの傘下となっている、かつて上場企業だったキューサイ(株)も、子会社の日本サプリメント(株)が昨年、特定保健用食品が取り消されたうえ、Xenaと同じく、今年2月に景表法違反で措置命令を受けており、業績への影響が懸念されている。
通販事業者や関係者は「急激に業績が伸長すると、会社の組織体制の対応や完備が追い付かないところがある。例えていうなら、車のエンジンの馬力に車体が耐えられない状態。悠香もそうした状況だったのではないか。設立5~6年で売上高100億円を超え、業績がうなぎ上りのときに、社内組織やコンプライアンスを軽視していたのかもしれない」、「茶のしずく石鹸のときは初動の対応の遅れが、社会的責任を果たせていないと見られた。通販では対面販売ではないので、より細かなフォローが必要とされる。消費者に誠意ある対応ができていれば、集団訴訟にまで発展しなかっただろう」と話す。
エリート街道から華麗なる独立・起業をし、一時期は通販市場を席巻した青年実業家の中山氏だったが、急成長ゆえの有事に対する対応の杜撰さにより、事態が社会問題化するまで大きくなってしまった。一方でそうした経営が珍しくない通販市場の実態もあり、市場規模としては成長していても、経営面や事業面の姿勢や消費者保護、コンプライアンスについては、いまだ未熟な業界といえる。
売上高100億円規模の根強い顧客を抱える同社だけに、今回の景表法違反や茶のしずく石鹸のときの経験を基に、企業一丸となっての立て直しが求められる。
(了)
【小山 仁】<COMPANY INFORMATION>
代 表:中山 慶一郎
所在地:福岡県大野城市御笠川5-11-17
設 立:2003年5月
資本金:3,000万円
業 種:化粧品の通信販売
売上高:(16/6)103億円関連記事
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