2024年11月22日( 金 )

福岡の老舗カレー店「アジアンキッチン タージ」

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 福岡市の天神地区にある親不孝通り(2000年に「親富孝通り」に改称。17年2月、「親不孝通り」に戻すことに)。かつてこの通りに面する長浜公園の奥には予備校の九州英数学館、通りの先には水城学園があり、浪人生たちが賑わいをみせていたことで、1970年ごろからこの名称で呼ばれていた。
 1981年、カレー店「タージ(taj)」が親不孝通りに面したビルの2階に産声をあげた。複数のスパイスから作られた本格的なオリジナルカレーは、市内でもまたたく間に評判となった。ランチ時には天神界隈のサラリーマンが多く通い、予備校生の間でも人気となっていた。しかしバブル崩壊後、ビルに風俗店が入ったことで飲食店を続けていくには厳しい環境となり、2001年に惜しまれながらも閉店する。

 「親不孝の店を閉めてからは、本当に大変でした。カレーしかやって来なかったから、カレー店をするしかない。でも場所がなかなか決まらなくて…」とオーナーの古賀登士郎さん。2年ほど場所を求めてさまよっていたが、古賀さんの故郷である福岡県八女市に近い大川市に縁があり、2003年「アジアンキッチン タージ」を新たにオープンした。家具倉庫を借り受け、古賀さん自ら内装やデザインを手がけた。眺めの良いテラスを含め、客席は約90席。駐車場も広々としている。

 古賀さんは、高校を中退し上京。東京・銀座のインド料理店で食べたカレーに衝撃を受け、その後の人生を決める。家庭のカレーとはまったく違う今まで食べたことのない味に感動し、インド料理を勉強するためにアメリカやインドへと渡った。
 「銀座で食べたカレーも、自分が作っているカレーも本場のインドカレーの味とは違います。日本人の口に合うようアレンジしているのです」と古賀さんは言う。しかし、小麦粉を使ってとろみをつけた日本のカレーとは違い、スパイスから作られた古賀さんオリジナルのカレーはサラッとしている。柔らかく煮込まれた具材がたっぷりと入り、複雑に絡み合ったスパイシーな香りが食欲をかき立てる。

 「親不孝通りでは、ご飯に合うカレーのみを作っていましたが、大川に来てからはナンにも合うカレーを出しています」と古賀さん。タージでは、ネパール人シェフを雇って本場のナンも提供している。13種類のカレーを楽しめるほか、ケーキなどのスイーツも用意されており、カフェとしても利用できる。地元のみならず、遠方からもカレーファンが多く訪れる「タージ」。30年以上変わらない懐かしい味が残っている。

アジアンテイストの店内は広々としている

タージのオーナー、古賀登士郎さん

【村重 珠実】

■アジアンキッチン タージ
所在地:福岡県大川市上巻436-4
営業時間:午前11時30分~午後10時(L.O.午後9時15分)
定休日:木曜日
TEL:0944-87-0855
URL:http://www.tajp1.jp/index1.php

 

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