「沖ノ島」世界遺産登録勧告も、一部除外
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世界文化遺産への登録を目指していた「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」(福岡県宗像市、福津市)について、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関イコモスが登録を求める勧告を行ったと、文化庁が6日発表した。
「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」は、古代祭祀が行われた沖ノ島(宗像大社沖津宮)、大島(宗像大社沖津宮遥拝所、宗像大社中津宮)、九州本土の宗像大社辺津宮、新原・奴山古墳群など宗像、福津市にある8件の国指定遺跡から構成されている。
しかし、今回の勧告は、沖ノ島付近以外の4件については対象外とする条件付き勧告だったため、地元自治体からは戸惑いの声が上がっている。
小川洋福岡県知事は、勧告を受けたこと自体は良しとしつつも、「推薦した全遺産が認められるよう、関係者と協議しながら7月の世界遺産委員会に向け最善を尽くしたい」としている。沖ノ島には古代の祭祀の遺跡が残っており、出土した奉納品のうち、約8万点が国宝に指定されている。また、島全体が神体とされ、一般人の立ち入り(年1回の大祭を除く)や女人禁制などの禁忌が今も守られている。こうした考古学的に明確な物証や聖性の維持が、世界遺産登録に必要な「顕著な普遍的価値」として評価された。
一方、宗像大社辺津宮など4件については、「価値が(日本の)国家的なもので、世界的な価値とは認められない」と除外を勧告されている。筆者は沖ノ島以外の現地を訪れたことがあるが、今回除外された4件について、歴史的、文化的に沖ノ島とセットにするべき構成資産であると思う反面、イコモスの指摘ももっともだと感じる面もあった。
宗像大社は歴史ある立派な神社ではあるが、その歴史的背景を知らなければ、距離的に離れている沖ノ島との繋がりを感じにくい。
大島にある沖津宮遥拝所と中津宮も同様である。島にあるためか、説明の看板以外に整備があまり進んでいなかった。整備されていることが必ずしも評価につながるとは限らないが、イコモスが現地調査を行った際に「世界遺産の構成資産として不適合」と見なしたとしても不思議はない。2013年に富士山が世界文化遺産登録されたときは、三保松原が今回の4件のように除外勧告を受けていたが、逆転登録されたという前例がある。
だが、三保松原の場合は文化庁が働きかけたことはもちろんだが、富士山と三保松原が一緒に描かれた浮世絵が存在し、それが西洋に渡って芸術分野に影響を与え、今でも評価されているという事実があったことが大きい。世界遺産の本来の目的は「人類共通の遺産を後世に引き継ぐ」ことだ。古代祭祀の遺跡が残り、今でも禁忌を守り続ける「沖ノ島」を保全することを第一に考えるならば、今回の勧告におかしなところはない。
登録が正式に決定されるのは7月の世界遺産委員会だ。あくまで沖ノ島の関連遺産群すべての登録を目指すなら、今回除外された構成資産と沖ノ島の関係性の世界的価値をアピールしなければならない。【犬童 範亮】
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