知られざる日本の反ドーピング事情(前)
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スポーツ庁は先ごろ、食品やサプリメントの反ドーピング認証に関する有識者会議を設置する方針を明らかにし、第一回会合が来月にも開かれる見通しだという。国内の反ドーピング認証についてはさまざまな問題を抱えており、現状とその問題を検証してみた。
そもそも日本の反ドーピングに関する対策は(公財)日本陸上競技連盟、(公財)日本水泳連盟、(公財)日本サッカー協会などの有力スポーツ78団体のほか、大塚製薬(株)、味の素(株)、(株)明治といった大手企業が加盟する、(公財)日本アンチ・ドーピング機構(JADA)が中心になる。JADAは、ユネスコの「ドーピング防止国際規約」を批准した「JADAマーク」と呼ばれる認証制度をとっており、しかも認証を受けられるのはJADA加盟企業に限定している。認証を受けているのは前述の3社のみというのが現状だ。
認証を受けるために必要な禁止薬物の公的な分析を行えるのが、国内では(公財)日本分析センターのみしかなく、JADA加盟企業以外からの分析依頼は断っている。こうした非常に偏った認証制度であることや、認証に関する分析試験方法などの情報を非開示にしていることなど、運営体制に不透明さがあるのではという指摘が挙がっており、非加盟企業などからは制度見直しを求める声が高まっている。健康食品業界関係者は、「JADAに加盟している各スポーツの協会・団体はJADA加盟企業のスポンサー契約を結んでいるところも多い。加盟するにも、中小ではとても払えない高額な協賛金が必要で、独占的な状況。検査機関を含め、何らかの制度や基準を作らないと、梅丹本舗(※)のような企業は後を絶たない」と話す。
しかし、そうした「恩恵」が受けられるJADAから最近、脱会する企業が相次いでいる。では、どうして脱会する企業が出てきたのか(つづく)
(※)2016年4月に、梅丹本舗の2商品から世界アンチドーピング機構の禁止薬物に指定されている物質が検出された。
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