狂人?それとも天才?金正恩の真の実力(後編)
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NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」から、一部を抜粋して紹介する。今回は、8月18日付の記事を紹介する。
たしかに、世界にとって最も謎の多い国の代名詞が北朝鮮であろう。55年前から経済データの公表をすべて中止しているお国柄だ。史上最年少とも言われる、33歳の若き指導者・金正恩にしても、さまざまなミステリーが付きまとっている。その多くは根拠がはっきりしないもの。とはいえ、北朝鮮に関する情報はなかなか外部からはうかがい知れないため、噂に尾ひれが付きやすい。検証するのが難しいため、世界のメディアが好き勝手に誇張した独裁的指導者の姿を撒き散らしているのが現実である。いわば、「言った者勝ち」に近い状態が続いている。
自分の伯父にあたる張成沢(チャン・ソンテク)が中国との貿易で私腹を肥やしていたことが判明したため、彼とその一族を「マシンガンで皆殺しにした」とか、「生きたまま犬の餌食にした」といった話もまことしやかに伝えられたものである。
しかし、我が国でも大きく報道された張成沢の処刑に関するおどろおどろしい出来事は、中国のイエローペーパーが冗談として掲載したものだった。こうした冗談やウソも繰り返し報道されると、世界中に「何をするかわからない恐ろしい独裁者」として、金正恩の「狂人的イメージ」が定着しても致し方ないだろう。当の本人にしても、若さゆえ、そうした近寄りがたいイメージもプラスと受け止めているのかもしれない。
いずれにしても、金正恩が世界の国家指導者のなかで最年少であることは間違いないこと。とはいえ、その生年月日ははっきりしない。しかし、年齢や生年月日がはっきりしないのは、金正恩だけではない。国家の政策として、北朝鮮では自国の最高指導者の生年月日を極秘扱いしてきているのである。神秘のベールで覆うことで、まさに神格化を進めようとの意思が感じられる。
しかし、2017年時点で33歳と目されている金正恩は、国内の圧倒的な支持を得るために、自らの祖父、金日成の立ち振る舞いから、容姿、服装にいたるまで、見事なまでに吸収している。体重は100キロをゆうに超しているが、時に杖を使いながらゆっくりと歩く姿、独特の髪型、そして声色。あらゆる身体的特徴を自らの祖父に近づけようとしているのである。これはすべて神格化されている金日成の威光を借りて、不満が渦巻いている国を統治しようとする努力の一環だろう。
要は、幼いころから皇帝のような特殊な環境で育てられたため、自らがリスクを取ることには躊躇をしないという性格が身についているようだ。国家の最高指導者に就任してからも核開発やミサイルの発射実験など世界の批判を浴びながらも一向に動じる気配を見せていない。その背景には、冒頭に述べたような彼独自の深慮遠謀が隠されていると思われる。
※続きは8月25日のメルマガ版「世界最新トレンドとビジネスチャンス」第78回「狂人?それとも天才?金正恩の真の実力(後編)」で。
著者:浜田和幸
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