漫画・アニメ文化でにぎわい創出!北九州市に特徴を!(前)
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今年8月、北九州の「北九州メディア芸術創造拠点事業」が、文化庁の先進的文化芸術創造活用拠点形成事業に採択された。北九州市で積み重ねられてきたポップカルチャーによるまちづくりの成果の1つである。ポップカルチャーとは漫画やアニメ、アイドルといった、大衆向け芸術のことで、正統派芸術とは区別される。多くの漫画家を輩出してきた北九州市がその価値に着目し、民間企業とともにポップカルチャーによるまちづくりを推進してきた。新たな魅力創出の歴史を紐解く。
多くの著名漫画家を輩出した北九州市
ものづくりの町・北九州。北九州は20世紀の幕開けとともに八幡製鐵所が開所、以後、近代日本の工業化を大いに後押しした。当時は鉄鉱石や石炭などを中国からの輸入に頼っていたため、中国大陸と本州に近い北九州が選ばれたのである。それから100年以上の時間が経過し、日本国内における製鉄業の中心は関東・関西へとシフト、北九州市の産業構造は変化の時代を迎えている。鉄・ものづくりの町は今、「ポップカルチャー」の町として新たな顔を見せている。
全国的にはまだ浸透していないが、北九州市は文化の町でもある。しかも茶道や華道などのような「正統派」の文化ではなく、より生活に密着した文化との関わりが深い。小倉は森鴎外が軍医として赴任した町でもあり、松本清張も北九州に居を構えた。そんな町で今注目を集めているのは、もっと庶民的な文化、ポップカルチャーだ。
北九州市は松本零士(代表作「銀河鉄道999」など)、わたせせいぞう(「ハートカクテル」など)、北条司(「シティーハンター」など)といった、著名な漫画家が暮らした町だ。その文化的な価値を改めて見直し、町の個性を漫画やアニメなどに代表されるポップカルチャーによってつくり出し、新たな魅力づくりを行っているのだ。
小倉駅北口周辺をポップカルチャーの聖地に
この文化の拠点が小倉駅の北口を出てすぐの場所にある、「あるあるCity」である。かつて、「ラフォーレ原宿小倉」というファッションビルだったが、2007年に閉店を余儀なくされた。小倉駅周辺は南側の発展に比べ、北側の開発は見劣りする。ラフォーレ原宿小倉という話題性をもったビルで集客を図ったが、この構造が改善されることはなかった。そのため、ラフォーレ原宿小倉からは次第にテナントの撤退が続出。ビルの営業自体は続けたものの、フロアの多くはシャッターが閉じられ、活気がまったく感じられなくなっていた。そして、07年にラフォーレ自体が撤退、その後は新たな目的を定めることができないまま、建物はひっそりと静まり返ることとなったのである。
そんな状況のなかで浮上したのが、文化による地方創生という考え方だった。特徴的だったのは、北九州市が多くの著名漫画家を輩出しているという点に着目した、漫画による地方創生である。アイデアは漫画ミュージアムとしてまとめられ、どこに出店するのか、具体的な検討が重ねられることとなる。当初の計画では、既存の商業施設への出店が検討されたが途中で断念、新たな出店場所として挙がったのが、かつてのラフォーレ原宿小倉、現在のあるあるCityなのである。
(つづく)
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