2024年12月23日( 月 )

てるみくらぶの破滅的経営、グラフで見る粉飾決算

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 ついに代表逮捕という刑事事件にまで発展した(株)てるみくらぶの破綻。11月6日、東京都内で開かれた第1回の債権者集会では、破産管財人によって5期にわたり、粉飾決算が行われていた事実が明らかにされた。

 それによると、同社は13年9月期から、決算時に費用の取消や架空の利益を計上する方法で粉飾決算を実施。その内容も年々エスカレートし、倒産から直近の16年9月期では、売上高を実際よりも約19億円高い194億8,100万円、当期純利益を実際よりも約50億円高い4,800万円を計上していた。グラフにしてみると、粉飾の内容が実態からかけ離れたものであることがよくわかる。

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 粉飾を行っていた理由は、国際航空運送協会(IATA)との契約更新、旅行業の登録更新および金融機関からの借り入れなどを行うためとされており、16年9月期時点における81億円7,000万円の債務超過の状態も隠されていた。直近3期では、採算割れとなる赤字販売を続けており、13年9月期から4期連続で増収となっている一方、売上総利益は減益が続き、最終的に17年9月期は、前期比32.9%減となる売上高117億7,300万円、売上総損失44億9,600万円を計上。今年3月に破産するまで、実質5カ月間の営業で約45億円の赤字販売を行っていたことになる。

 さらに、前出の13年9月期から16年9月期までの粉飾決算は、実態よりも良く見せようとしたものであったが、11年9月期および12年9月期には、実態よりも悪く見せようとした粉飾が行われていた。これは脱税目的と見られており、約5,000万円の税金逃れがなされていた。同社の粉飾体質は、事業がまだ好調であった頃から根付いていた。

 同社の業績が急速に悪化していくなか、13年9月期以降、3,300万~3,400万円の役員報酬を得ていたという事実も債権者の怒りに油を注いでいる。山田氏は4月12日、東京地裁より破産手続開始決定を受けており、自己資産はないとされているが、「本気で経営改善に取り組もうとした意志があったのか」などと疑われても仕方がない。

【山下 康太】

 

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