2024年12月27日( 金 )

「ホールフーズ」 アマゾンリアル店の「おもてなし力」~ニューヨーク・流通業視察(3)

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 今年8月アマゾンは、オーガニックスーパー「ホールフーズ・マーケット」を買収した。マンハッタン内で10店舗を展開している。買収後早速商品の値下げが実施され、アマゾンのバイイング・パワーを見せつけることとなった。

 「チェルシー店」の20代前半と見られるレジ担当者は「バナナの値段が劇的に下がった」と嬉しそうに教えてくれた。調べてみると4割近く引き下げられ、1ポンドあたり49セントとなっていた。もう1つ変わったこととして教えてくれたのが、アマゾンで注文した商品を店内入り口にあるボックスで受け取れるサービスが開始されたこと。アマゾンはキャッシュレスサービスのアマゾンブックスの新店を出すなど着々とリアル店舗への侵攻を進めている。

 だが、最も凄みを感じさせたのは「ホールフーズ」と「アマゾンブックス」両店舗の従業員の「おもてなし力」だ。ホールフーズ・チェルシー店のレジ店員は消費者の列が続いているのにも関わらず、こちらの質問に「以前との違いを詳細に教えてくれるし、(買収されて)とてもハッピーだよ」と愛想よく応えてくれた。何度か買い物をした別のスーパーチェーンのレジ担当は、こちらに目をくれず他の従業員と雑談をしていたことと比べると、他のスーパーとのレベルの違いがわかる。現地関係者によると高質スーパーの「ホールフーズ」は従業員への報酬額も高く従来からレベルの高い従業員が揃っていたという。もともとのアマゾン流のサービスでないにしても、そうしたスキルを維持しながら価格引き下げと新サービス提供を実現できることがアマゾンの凄みと感じられた。前回レポートしたアマゾンブックスの従業員もいずれもフレンドリー。リアル店舗への進出で感じるのは、利便性や価格だけでないアマゾンの強みだ。

(つづく)
【鹿島 譲二】

 
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