久留米市・欠陥マンション裁判、福岡高裁が原告の訴えを棄却(中)
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――では、(2)「行政を敗訴させない意思が働いた」と考えられるということですか。
仲盛 昭二 氏
仲盛 (2)「行政を敗訴させない意思」については、残念ながら可能性が考えられます。過去の行政裁判では、客観的に見て行政側に非がある場合でも、圧倒的な確率で行政側が勝訴しています。本来中立であるべきはずの裁判所(司法)であっても、行政を敗訴させた場合の社会的影響を忖度せざるを得ないという事情があるのではないでしょうか。結果として、行政裁判で敗訴し泣き寝入りした例は数えきれないほどあったはずです。
我が国においては、立法・司法・行政の三権分離が憲法に定められています。ほとんどの行政裁判において行政側が勝訴するという実態は、地裁や高裁における実態です。
今回の高裁の判決は、たとえ1審の福岡地裁の判決が法令の適用を誤っていたとしても、高裁が覆すことはできなかったということです。地方裁判所の1審判決を高等裁判所が覆すことは難しいと言われています。なぜなら、同じ裁判官同士、マイナスにならないようにとの配慮があるからです。こんな理由で、高裁が判決を決めていることは、法の平等性に疑問を抱かざるを得ません。まれに、伊方原発に関する広島高裁の判決のように、1審判決を覆し、原発差し止めを認めるような場合もありますので、今回の福岡高裁の判決にも期待をしていたのですが、残念ながら私たちの期待は裏切られました。
――実際に、弊社がこれまでに取材した行政裁判でも、行政側の敗訴となるケースは希少です。
仲盛 裁判官ともいえども公務員の一員です。行政に非があったとしても、行政を混乱させるような判決を書けば、公務員としての評価に影響があるのではないでしょうか。生活がかかっているので、個人の正義感を押し殺さざるを得ないのです。
個人の正義感を封印し、行政側有利の判決を書いた裁判官は順調に出世を続けていくでしょうが、その裏には、不当な判決に涙を呑んだ国民が数多く存在しているのです。このような異常な状況が罷り通っているのが、我が国の司法の実態であり、行政は、国民から訴えられても勝訴する確率が極めて高いので、強引な手法や、問題が生じた際の責任逃れを続けているのです。国民は、いくら正しいことを主張しても、司法が封じ込めるのです。
法の番人たるべき裁判所が、中立かつ客観的な法律論を自ら否定し、行政寄りの判決を下すのであれば、行政や大企業の思うがままとなり、もはや法治国家の態をなしておらず、北朝鮮と何ら変わるところはありません。
(つづく)
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