今週開幕の平昌オリンピック 成功への課題は(後)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
ところで、一番大事なのはオリンピックが成功するかどうかであるが、それについては正直不透明な部分も多いのが事実である。今回の平昌オリンピックが盛り上がっていない理由はいくつかある。
まず、チケットが高すぎる。開会式の場合には150万ウォン(日本円で約15万円)、韓国で一番人気のあるフィギュアスケートの場合は、80万ウォン(約8万円)だという。実は韓国では冬のスポーツはそれほど人気があるわけではない。
フィギュアスケートのキム・ヨナのおかげで、以前に比べかなりウインタースポーツに対する関心は高まったが、韓国の冬はとても寒く、冬は忍耐する時期であって、楽しむような季節ではなかった。
韓国では、冬季スポーツはもともと固定ファンの多い競技ではないだけに、これほどの金額を払って行く人は、どれくらいいるのか正直に疑問である。それに、便利な都会であればまだ話は別だが、数時間もかけて移動して、また宿泊しなければいけないことまでを考えると、よほどのことがない限り、テレビ観戦を選ぶ可能性が高い。チケット販売がうまく行かず、地方自治体に協力を要請したという報道はその裏づけでもある。チケットの販売を心配しなくてはならなくなった一番の理由は北朝鮮リスクであろう。米国がいつ北朝鮮を先制攻撃するかわからないという記事が新聞紙面を賑わし、朝鮮半島の危機が先月まで続いていたことが外国人の韓国訪問を躊躇させた。
平昌オリンピック組織委員会では、外国人39万、韓国人220万の観衆を予測しているが、どのような結果になるかは、蓋を開けて見ないと誰もわからない。しかし、北朝鮮の選手団32名が選手村に入村したことによって、懸念していた北朝鮮の脅威は少し下がったような気がする。しかし、オリンピック成功を邪魔するために北朝鮮は何をするかわからない。開幕式の前日は軍事パレードをするようだ。
当初噂されていた問題は1つずつ解決されている最中だが、まだいろいろな課題が残されていることも事実である。
韓国では、平和の祭典オリンピックを韓国で開催することで、半島は平和であることを世界にアピールすると同時に、韓国の最先端IT技術を全世界に紹介する絶好の場として捉えている。
オリンピックの開催地では5G通信技術が活用されるようだ。映画1本をダウンロードするのに1秒しかかからず、通信速度は4GLTEに比べ20倍早い。そのほかにも、AIを活用した自動通訳、VR、IoTなど最先端技術が披露されるそうだ。
冬季オリンピックを開催することで、観光の面だけでなく、国家のイメージ向上、ブランド力の向上による付随効果などが考えられるが、下手をすると赤字で終わるケースもなくはない。
オリンピックは開催期間中の成功も大事だが、その後の運営・維持にもコストがかかる。かつて冬季オリンピックを開催した長野県でも大きな問題となっている。
大きな問題を乗り越えて開催されるオリンピックであるだけに、平昌オリンピックの開催成功を祈ってやまない。
(了)
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