【続報】障害福祉事業をめぐる「黒いビジネスモデル」
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始まりは「NetIB-News」の読者、Aさん(女性)から昨年届いたメールだった。内容は、Aさんがある婚活サイトで知り合った男性についての情報提供で、男の言動があまりにも怪しいため調べてほしいというもの。取材班は当初いたずらの可能性も疑ったが、内容が具体的で詳細なため、Aさんと直接会って事情を聞くことにした。
その「怪しい男」こそ、「NetIB-News」で連日報じている、(障がい者)就労継続支援A型事業所「MAXY」の現代表だった。この人物がAさんに語った経歴をまとめてみよう。
・東京大学を卒業、慶応義塾大学やアメリカの大学院にも進学した。
・現在はIT系の会社を経営し、障がい者就労支援事業も手がける。
・これまで(就労継続支援)A型事業所を複数立ち上げている。
・婚活サイトで知り合った女性と、これまでに3~4件のビジネスにつながった。
・いまは、(同)MAXYという事業所を大野城で始めている。
・自分の事務所は、大きくて立派なビルにある「(一社)テレワーク検定協会」。
・過去に、同じビル内で事業所を複数やっていた。
初対面の相手を圧倒するためだろう華麗な学歴と、「IT系の会社を経営」という曖昧な自称。詐欺事件を臭わせる要素を多分に含んだ経歴に、取材班は思わず顔を見合わせた。
同代表とのこれまでのやり取りを振り返って、Aさんは憤る。
「婚活サイトのプロフィールとは違って実年齢は10歳以上も年上で、経歴も信じられない。真面目に婚活している女性を騙している。どう考えてもまともな事業をやっているとは思えない」Aさんから聞き取った内容について、事実を確認するための取材を開始するとすぐに、いくつかの事実が判明した。
・大野城市内に「MAXY」という就労継続支援A型事業所が存在する。
・ゼネラルビルにも、「(一社)テレワーク検定協会」が入居していた。しかし、実態は「準備室」で法人登記はされていない。
MAXY旧事業所
取材班が目をとめたのは、過去に同じビル内で複数の就労継続支援A型事業所が運営されていたという事実だ。そのうち、1つの事業所は福岡市から指定取り消しを受けていた。不正受給をめぐる取り消し処分ではないのか――。
そもそもほとんどの障がい福祉事業所は採算ぎりぎりで、運営するのは簡単ではない。しかし、障がい者の就労継続支援(=職業訓練)については国の基準に基づいた給付金が出るため、いくつかの事業所で不正受給が明らかになり、社会問題化していた。A型事業所の指定・開設要件の甘さも不正受給の温床になっているという指摘もある。
問題の現代表は、「MAXY」というA型事業所を通して不正な利益を得ている可能性がある。取材班は、次々に入ってくる情報を基に、代表者に対する疑惑を強めていった。その手法はこうだ。A型事業所には表面上の代表者を置き、自分は影の代表になる。そうすれば、不正が発覚しても追及の手はおよばない。表の代表は自分の言いなりになる女性がいい。表の代表になる女性は、バツイチが集まる婚活サイトで探そう――。卑劣極まりない「黒いビジネスモデル」の構図がみえてきたのと同じころ、編集部にもたらされたのは、代表者をめぐる別の「疑惑」に関する情報だった。
いまだ準備室のまま
(つづく)
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