2024年11月28日( 木 )

蚊帳の外に置かれている安倍外交の現実

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は安倍外交の孤立無援ぶりについて論じた4月28日付の記事を紹介する。


日本には拉致問題があるために南北朝鮮の首脳会談開催について無条件でこれを歓迎できない事情がある。しかし、拉致は連合国軍と北朝鮮が戦争状態にある下で発生した事案であり、国交関係を有する友好国間において発生した事案ではない点には留意が必要である。
1月20日付ブログ記事、メルマガ記事でも紹介したが、「アリの一言」ブログ主宰者が、北朝鮮分断の経緯についての情報を提供されている。同ブログは、北朝鮮分断の経緯について文献から、奈良女子大名誉教授中塚明氏とオーストラリア国立大教授ガバン・マコーマック氏の指摘を紹介している。

改めて転載させていただく。
「一九四五年八月十五日、日本が敗北するとすぐさま朝鮮建国準備委員会(委員長・呂運亨)が結成され、八月末まで朝鮮全国各地に一四五もの人民委員会がつくられる勢いでした。九月六日には、朝鮮人民共和国の樹立が宣言されました。首席にアメリカで活動していた李承晩、副首相に呂運亨という布陣で、幅ひろい組織をめざしました。
しかし、アメリカは南朝鮮に軍政を施行し、朝鮮人民共和国を認めず、きびしく弾圧しました。
…朝鮮人自身による独立政府樹立の運動が続く中…
アメリカは、一九四七年、創設まもない国連に朝鮮問題を持ち込み、国連監視下の南北朝鮮の総選挙を可決、翌年には南朝鮮だけの単独選挙実施方針を示しました」(中塚明奈良女子大名誉教授『日本と韓国・朝鮮の歴史』高文研)

「そもそも朝鮮の分断は、アメリカの一方的決定によるものであった。
…終戦直後の一九四五年九月、朝鮮に上陸し、朝鮮南部に軍事的支配を樹立したアメリカは、すでにその行政区域内に育っていた朝鮮人自身の萌芽的共和国(呂運亨主導下の朝鮮人民共和国)とその草の根の組織である人民委員会の承認を拒否した。…
日本の植民地体制と植民地統治が崩壊し、代わりにアメリカ支配が始まってから、莫大な富と権力がアメリカ人の手に渡った」(ガバン・マコーマック・オーストラリア国立大教授『侵略の舞台裏 朝鮮戦争の真実』影書房)

朝鮮分断は米国が主導したものであるとの見立てが正鵠を射ていることがわかる。朝鮮半島の最大の問題、悲劇は、朝鮮が他国の力によって南北に分断され続けてきたという点にある。南北の融和、南北の統一こそ、目指すべき目標である。
その南北の分断、韓国に対する支配を確保し、手放さずにきたのが米国なのである。
米国の韓国支配は韓国のためのものではなく、米国のためのものである。その米国の支配下にある日本は、日本や韓国のための外交ではなく、米国の利益を守るための外交を展開していると言わざるを得ない。

安倍首相は平昌五輪開会式への出席を見送ろうとした。しかし、自民党内からの異論を受けて開会式出席を受け入れた。そして、韓国の文在寅大統領との会談で五輪後の米韓軍事演習を督促する発言を示し、文在寅大統領から内政干渉であるとの批判を受けた。
今回、南北朝鮮の首脳会談が実現したが、会談実現は文在寅大統領の指導力によるところが大きい。文在寅大統領は米国のトランプ大統領にも積極的な働きかけを行い、その結果として米朝首脳会談が実現する流れが生み出された。

※続きは4月28日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第2027回「アジア諸国との真の友好関係確立が日本の国益」で。


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・植草一秀の『知られざる真実』

 

 

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