2024年12月23日( 月 )

誠実かつきめ細かなサポートで日本とイタリア・欧州の経済・文化を結ぶ(後)

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ディサント(株)

地方文化を事業と融合させる

 さらに両国の観光産業の発展については、「イタリアも日本も商品や食、伝統文化や歴史、各地方の特色などの魅力を海外に伝えてきました。その結果、それを手に取った人が今度は現地に行ってみたいと思うようなブランディング構築に成功しました。それにより外国からの旅行者を獲得し、旅行から戻った人々が今度は自分の国でも同じ体験をしたいということで商品を手に取るという、循環を促すかたちで観光事業と地域の文化や商品などの魅力を融合することができていると思います。以前の日本に対するイメージは、電化製品を始めとした機器や自動車などのテクノロジーが、まず頭に浮かんでいました。近年は、それらの分野については新興各国の技術と生産レベル向上により、日本の注目度は依然と比べると低くなりました。それに変わって、日本独自の文化や伝統的な技能・芸能、また豊かな地域性などへの注目度が高まってきています。もちろん、日本のマンガやアニメーションなどの産業もその1つで、イタリアでの市場はますます拡大しています。」(ディサント代表)と分析している。

食、IT、バイオメディカルの進出

ディサント・ダニエレ 氏

ディサント・ダニエレ 氏

 このようなイタリアと日本の相互関係のなか、同社の主力となる事業は日本からイタリアおよびヨーロッパ各国への市場開拓のサポート全般。そして、イタリアおよびヨーロッパ各国から日本への市場開拓のサポートだ。顧客は、民間企業と地方自治体などの公的機関ともに存在する。
 日本からイタリア市場に進出する目的は、「5年前までは、日本の大手企業が、イタリア現地の会社をM&Aによって市場開拓を行う拠点にすることがほとんどでした」(ディサント代表)。しかし、その傾向が近年は徐々に変化しているという。「もちろん現在も日本の大手企業のイタリア進出の事例が多いなか、前述させていただいた通り和食を中心としたフードビジネス業界の進出が以前に比べると増加しております。イタリアの人々が和食をより身近に楽しむ機会が増えたことで、ビジネスチャンスが拡大しました。そして、ほかの業種と比べ出店後短期間で利益を生み出すことが実現できるという、投資に対する回収のサイクルが速いこともイタリアへの進出が増加している理由の1つです。弊社でもご相談が増えております」(ディサント代表)
 また、フードビジネスなど食品関連業界とともにイタリアへの市場進出が増加している分野は、ITとバイオメディカル業界だという。同社でもその事例が増加しつつある。「両国間企業による国際的な業務提携などによる進出が多いパターンです」(ディサント代表)

 逆にイタリアから日本への市場進出は、「日本市場への投資よりも、イタリアでつくられた製品・商品を流通させる傾向が圧倒的に強いです。衣料品・革製品などのファッション、自動車、機械・機器、医薬品などにその傾向が強いと思います」(ディサント代表)と日本はイタリア市場への投資、イタリアから日本へは自国の製品や商品の流通をする、と進出目的が対極であることがわかる。

両国の持ち味を最大限発揮させる

 それでも日本とイタリアの共通する点には、
1、 食文化の本質─素材をいかしたつくり方
2、 各分野における伝統的な独創性や高い技術力を伝承する
3、 地域性を重要視した経済の活性化
があげられる。
 お互いの持ち味を尊重し、進化・発展し末永いパートナーシップをつくり上げるサポートへ日々奮闘する同社。ディサント代表は、同社のマネジメントとともに日伊経済連合会を15年1月に設立し、両国間の事業と文化・経済の交流を促進する活動を行う。「両国民は、食文化に代表される伝統的な文化や技術、そして独創性を大切にする国民性。そして地域の独自性を活性化につなげていく志向など共通点がとても多いのです。今後もさらに民間企業、行政、そして人的な交流を深めて両国の絆をつくり上げて行きます」(ディサント代表)

 今後同社は、産学協同による大学とのコラボレーションによる事業構築、高齢化社会に向けての健康分野のビジネス展開。さらには、相手国での日本市場・イタリア市場の専門家の育成などの人的交流などに取り組む。同社への期待は今後、一層高まるだろう。

(了)

【河原 清明】

<COMPANY INFORMATION>
代 表:ディサント・ダニエレ
所在地:福岡市博多区博多駅南2-1-5-8F
設 立:2007年10月
資本金:800万円
TEL:092-292-0092

 
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