破産から一転、民事再生申請へ 仮想通貨ビジネスの異質な破綻(後)
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(株)MTGOX
消えた約480億円のBTC
2014年当時の価値にして、約480億円分のビットコインを消失させてしまった同社。ビットコインを消失させることを「GOX(ゴックス)する」と表現するネットスラングが生まれた。この出来事が広く社会に与えた影響がいかに大きかったのかがうかがい知れる。
同社は、債権者への弁済を最優先に考え、14年2月28日、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。しかし、ビットコインの消失にかかる事実関係の調査完了にメドがたたないこと、スポンサー候補企業との交渉がまとまらないことなどが要因となり、同年4月16日、同地裁から民事再生法適用の申請が棄却され、同日、保全管理命令が出された。
同月24日、同地裁から破産手続開始決定を受け、破産管財人の小林信明弁護士(長島・大野・常松法律事務所、所在地:東京都千代田区丸の内2-7-2、専用電話:03-4588-3921)が破産手続きを進めていた。そうしたなか、15年9月11日、同社代表取締役のカルプレス・マルク・マリ・ロベート氏(以下、ロベート氏)が業務上横領罪などの容疑で起訴された。社内システムの不正操作や顧客の資金3億円相当を私的に流用した疑いのほか、顧客資金2,000万円を着服していた疑いがもたれている。ロベート氏は保釈されているが、18年現在、当該事件に関する公判は続いている。ハッカーの不正アクセスによる400億円超の被害と思われていた「マウントゴックス事件」に疑義が生じるきっかけとなった。
さまざまな出来事が起こるなか、17年11月24日、一部の債権者が東京地裁に民事再生法の適用を申請。同地裁は同日調査命令を発令した。同年12月、世界最大規模の先物取引所であるアメリカ・シカゴのCME(シカゴ・マーカンタイル取引所)でビットコインの先物取引がスタート。一時、235万円/1BTCの高値を記録し、同社が保有するビットコインの総額が、破産管財人が破産債権として認めた金額の456億円を上回った。調査結果や状況の変化を受け、18年6月22日、同地裁は保全処分・監督命令を発令。破産手続きは中止となった。
注目される再生計画
MTGOXの一連の騒動を受け、ビットコインで資産運用することに対して負のイメージを抱いた人は少なくはない。ビットコインの価値は18年7月24日現在、86万円/1BTC。235万円/1BTCという最高値を付けたころと比較すれば、価値の下落は明らかだ。逆に、何らかのきっかけで再び高騰する可能性もある。同社の保有するビットコインの一部売却は18年現在も進んでおり、債権額に匹敵する金額の獲得も目前だ(上表参照)。
再生、破産、そして再び再生へ―倒産後の事後処理をめぐる二転三転の展開は、仮想通貨取引所の倒産がいかに複雑なものかを物語っている。新たな再生計画は19年2月ごろ提出される予定。同計画案の内容が注目される。
(了)
【代 源太朗】<COMPANY INFORMATION>
代 表:カルプレス・マルク・マリ・ロベート
所在地:東京都渋谷区渋谷2-11-5
設 立:2011年8月
資本金:500万円
売上高:(13/3)約1億3,500万円関連記事
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