非日常空間の演出にある商業施設のカギを握るエクスペリエンス(3)
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(株)花形商売研究所 代表取締役 濱田 浩昭 氏
おしゃれ施設が目白押しの神奈川エリア
一方、郊外型の巨大モールについては、近年、話題性のある施設の新規開業が少なくなりつつある。これは、大店法(大規模小売店舗立地法)の兼ね合いもあるが、大型モールが飽和状態になってきていることも1つの要因だろう。そういうなかでも、ぜひチェックしておきたいのが、「たまプラーザテラス」だ。都内でも屈指のおしゃれタウンの1つ「たまプラーザ」を代表する商業施設だが、全国の郊外型施設のベンチマーキングにされるほど注目されている。郊外型にしては都心にしかないようなハイエンドなテナントが入居し、おしゃれで最先端を感じさせる場づくりができている。このような空気感は、物理的な施設の設計だけではなく、街そのものとの親和性や、来店するお客さんの立ち居振る舞いなども含めて全体として醸し出されるもので、作ろうとしてできるもではない。
これほどの施設は都心近郊でも数えるほどしかないが、比較的近いレベルの施設としては、「ららぽーと横浜」「テラスモール湘南」など神奈川県に集中する傾向がある。そのなかで、私が注目するのが海老名エリア。もともと「ビナウォーク海老名」しかなかった駅前に「ららぽーと海老名」ができたことで、一気に商業エリアとしての魅力がアップした。「ビナウォーク」は、施設内に五重塔があるなど不思議な空間演出をしており、これに対して「ららぽーと海老名」は食が充実している。いずれか片方だけでは物足りないが、2施設がそろったことでリピーターが多頻度に訪れるようなエリアになった。運営会社はそれぞれ異なるが、両施設で共同の連動企画などを頻繁に行っている。
(つづく)
たまプラーザテラス
田園都市線・たまプラーザ駅周辺開発計画の一環として、東急電鉄が開発を手がけた。2005年11月に着工、駅に直結したゲートプラザ、北側のノースプラザ、南側のサウスプラザの3棟からなる。10年10月開業。
敷地面積約5万m2、店舗数137店(18年6月末時点)。駅上部に人工地盤を設置したうえで施設を建設。交通機能と商業機能を併せ持った施設として設計されたのが特徴。また、建物の高さを改札口から2層~3層までに抑えることで、たまプラーザの街の大きな特徴である開放的な街並みとの調和を図った。
駅ビル型の商業施設は珍しくないが、同施設は駅と一体型という点で異色。商業施設のなかに駅の改札やホームがあり、線路が通っているとイメージすればわかりやすいかもしれない。それだけに、駅乗降客の利用が断然多い。わざわざ外出してくるというより、日常生活の一部として組み込まれているような印象を受ける。<プロフィール>
濱田 浩昭
(株)花形商売研究所代表取締役。1960年広島市生まれ。関西学院大学社会学部卒業。広島の地元紙系列広告代理店、東京のSP/PRエージェンシー勤務を経て1994年、(株)花形商品研究所を大阪で設立。商品・サービスや各種プロジェクトの開発から広告・販促などマーケティング&コミュニケーション活動について、トータルなプランづくりをサポート。提案先は多彩な業種におよぶが、とくに、流通小売業や不動産業といった“商圏”をもつ業種での実績が豊富。2014年秋に拠点を東京に移転するとともに現社名に変更。日本人による海外起業を啓発・支援する(一社)海外起業情報センターを設立し、100名を超える日本人起業家を訪ねて、世界30都市をめぐる取材を敢行した。アジア経営学会所属。関連記事
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