政府の成長戦略「未来投資戦略2018」を考える
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政府は6月に新たな成長戦略となる「未来投資戦略2018」を閣議決定した。デジタル革命が進む世界の潮流に合わせて、人工知能(AI)やビッグデータ、IoTなどのIT技術の活用により社会問題を解決する「Society5.0」の実現と、データを成長の源泉とする「データ駆動型社会」への変革を目指すという。
政府の成長戦略が耳障りの良いスローガンと、てんこ盛りの内容であるのはいつものことで、実際にどの程度が実現されるかは不透明だが、企業経営者は大枠を捉えておく必要はある。「テクノロジートレンド」は現在では最も重要な「メガトレンド」になっているからだ。中小企業でも、IT技術への理解と活用が、今後の経営に大きな影響を与えるのは間違いないだろう。
中小企業にとって、大手IT企業が莫大な開発費を使い、「テクノロジーの民主化」として新たなサービスを格安で投入してくることは、大きなメリットだ。オープンソースやクラウドサービスなどは、上手に使えば重要な武器になる。Googleやアマゾンのサービスが代表的だ。またイノベーションにより業界の垣根が溶解していることも、あらゆる業界で再定義が進むこととなり、ビジネスチャンスが生まれている。
日本最大の時価総額を誇るトヨタ自動車でさえ、自動車メーカーからモビリティ・サービスの会社に変わることを宣言しているのだから、従来のカテゴリーに当てはまらないビジネスモデルが頻出することは必然でもある。こうした環境変化に適応できない企業は、衰退の道をたどることになるが、その時間も以前より短くなっている。大手企業でも5年後が見えない時代だ。一方でメルカリのように短期間で急成長する企業も出てくるのが、デジタル革命の時代である。
昨今、経営者に求められるものとして「デジタル・マインドセット」の重要性が語られる。テクノロジーのリテラシーを上げ、社会トレンドに敏感になり、企業経営のかじ取りをしていく必要があるからだ。もちろんデジタル人材の登用にもリテラシーが必要だ。最先端の技術を自ら触り体感することが、その一歩である。経済同友会が作成した「デジタル・マインドセット チェックリスト」なるものもある。自分がどの程度のデジタル・リテラシーをもっているのか、一度、参考までに試してみるのも良いだろう。
【緒方 克美】
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