2024年11月15日( 金 )

いま問われる突破力!~野党共闘の行方は(前)

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 急逝した翁長雄志沖縄県知事の後継候補に自由党の玉城デニー衆議院議員(沖縄3区)が県政与党や労働組合でつくる調整会議から出馬要請を受けた。風雲急を告げる展開である。政局が慌ただしく動く中、自由党代表の小沢一郎衆議院議員と政治経済学者・植草一秀氏との対談が8月末に永田町衆議院第一議員会館の小沢一郎事務所で行われた。現在の政局に右往左往することなく、政(まつりごと)の原点、目的を問うものから、19年の参院選まで幅広く話し合われた。
 「議員にとって大事なのは、主権者たる国民の代表として、国民の権力を行使して何をするかという問題です。権力そのものを目的とする、政治のための政治というのは空疎で意味がありません」(小沢一郎氏)「消費税の増税は、『財政再建』や『社会保障拡充』のためではなく、ひたすら大企業などの法人税減税と所得税減税の為だったことが判っています」(植草一秀氏)

(企画・進行:弊社代表取締役 児玉直)


安倍政権になってからは、「国民の生活が台無し」になった

▲対談を行う小沢氏(左)と植草氏(右)

 植草一秀氏(以下、植草) 私が推進している市民運動「オールジャパン平和と共生」ではいつも大変にお世話になっております。オールジャパン平和と共生は「戦争と弱肉強食」の政治に反対し、「平和と共生」の政治実現を目指す主権者の集まりです。先生は、一貫して「国民の生活が第一」という旗を掲げられてきました。しかし、安倍政権になってからは「国民の生活が台無し」になってしまいました。

 2014年の衆議院議員総選挙(以下衆院選)、17年衆院選の比例代表で、「全有権者の何%がどの党に入れたのか」(絶対得票率)で見ると、ともに自公は24.6%なのに対し、反自公は、14年は28%、17年は25.2%でいずれも自公を上回っています。安倍政治を倒すということで皆が一致して、小さな違いを乗り越えて手をつなげば、確実に勝つことができます。民主党が大勝した2009年衆院選では投票率が大きく上がりました。投票率が上がると、反自公の票が増え、さらに差が拡大します。小沢先生が、従来から言われておりますように、本当に「今の政治を糾す」という旗印のもとに、広く政治権力と主権者が、連動、一体化して、大きな塊ができれば、現在の政治情勢を刷新できると私は思っています。先生はいかがお考えでしょうか。

自公をはるかに凌駕する圧倒的な勝利につなげられるのです

▲自由党代表 小沢一郎 氏

 小沢一郎氏(以下、小沢) 今、植草先生がおっしゃった通りです。単純に加算しただけでも自公の票を上回ります。受け皿を1つにすることができれば、期待感が拡がり、投票率が上がり、自公をはるかに凌駕する圧倒的な勝利につなげることができるのです。しかし、なかなかそのような動きにつながっていかないのは、「志」、そして「胆力」の問題だと思っています。

 つまり、「みんなで力を合わせて政権をとろう」「政権をとって自分たちの主張を実現しよう」という強い意志が欠けているように思います。現状に甘んじて、「自分の党さえ何とか維持できれば良い」というような感覚になってしまうところに一番の問題があります。その気持ちを変えていかないとダメなのですが、選挙結果を分析して提示したりしても、普段はなかなか難しいのです。ただし、今2019年7月28日の参議院議員通常選挙(以下、参院選)まで1年を切りました。多くの方は分かってきているのではと思います。

時にはその大同団結に水を差すような行動も見受けます

 植草 先生が民主党の代表時代、2007年の参院選で大躍進、その勢いを維持、2009年の衆院選で民主党が大勝して政権が交代しました。国民にとって、日本の未来にとって、大きな日の光が差し込みました。民主党は「国民の生活が第一」というスローガンを掲げ、「シロアリ(さまざまな政府の無駄や天下りなど)退治なき消費税増税はやらない」ということで、当時の鳩山政権はスタートしました。

 しかし、その後、2010年の菅政権を経て、11年から始まった野田政権で、12年には国民との約束を反故にし、「シロアリ退治なき消費税増税」に突き進んでしまいました。
 そこで、国民との約束をしっかり守った小沢先生のグループが党を出ることになります。私など、外から見ていますと、2010年頃から民主党の経済政策はその根幹部分にズレが生じ、党として国民に約束していたものが壊されてしまった印象をもっています。

 その延長線上で今の政治状況を見ますと、その余韻もあり、「みんなで大同団結して頑張らなければ、政治は変えられない」ということがわかっているにも拘わらず、そのトラウマが乗り越えられていない。時にはその大同団結に水を差すような行動も見受けます。

自分たちが国民に約束した通りのことを実行しよう!

 小沢 同感です。色々ありますが、消費税の問題はその典型です。自分たちが決めた、国民に約束したにも拘わらず、経験不足や知識不足が主な原因だったと思いますが、財務省の役人に言いくるめられてしまい、「どだい自分たちが主張していることは無理なんだ」と挫折してしまったというか、その実行に躊躇してしまったのです。選挙区で、自分でたたき上げ、勝ち上がってきた経験のない優等生の人ほどその傾向が強く見えました。
僕は当時から、消費税の問題についていえば、「財源はいくらでもある、心配することはない」「先ずは、自分たちが国民に約束した通りのことを実行しよう」と言い続けていました。そして、きちんとしたものをつくり、それでも財源が本当に足りないのであれば、国民も納得してくれると思っていたからです。

(つづく)
【金木 亮憲】

(中)

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